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☆番外編あらかると☆
第3章 愛しては、ならない――切ないwhite day
「あ――っなんか今日はスッゲ疲れた――お腹減ってしにそ――!
ママ――っ!なんかある――?夕飯までの時間持たないよ――!」
とても「しにそう」には思えない元気な声に、菊野と剛は顔を見合わせて苦笑いする。
身体を起こそうとする菊野を手で制し、剛はその場で声を張り上げた。
「今いくからちょっと待ってろ――!」
剛は天井を仰ぎ溜め息を吐くと、部屋を出ていこうとするが、ふと何かを思い出した様に菊野の側へ歩いてくると、掌で頬に触れ、額を重ねる。
「――!」
息を呑む菊野と、剛の瞳が合わさり、火花が散った錯覚を覚える。そして、その火を見たのは菊野だけではなかった。
剛の胸に、網膜に、菊野が焼き付いた一瞬だった。
「――やっぱり、熱い……ですね」
「――っ」
目を離さずにゆっくりと剛は菊野から離れ、再び手を伸ばしかけるが、躊躇う様に拳を握り彼女から顔を逸らして部屋を出ていった。
「……ふっ……」
堪えていた涙が溢れ、手の甲に落ちる。
この身体を抱き上げた腕も、頬に触れた大きな掌も、いつの間にか少年ではなく大人の男の物だった――その事実が、更に菊野を甘く、痛みを伴う程の恋に突き落とした。
彼がここに来てから三度目のバレンタインとホワイトデー。彼が成長するにつれて、胸の痛みは大きくなっていく。
――私は、いつまで耐えられるのだろうか?
彼が誰かと恋をしたら、笑って『良かったわね』などと言える日が来るのだろうか――

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