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☆番外編あらかると☆
第3章 愛しては、ならない――切ないwhite day
無意識に顔を歪める菊野を見て、剛はハッとして、彼女の身体を抱き上げる。
突然の事に、菊野は口をパクパクさせてただ彼を見た。
「……やっぱり相当お疲れなんですね……今日はもう休んでください……家の事は俺と祐樹でやりますから」
「あ……ああああのっ」
慌てる菊野に構わず、剛は彼女を腕に抱えたままで寝室のドアを開けた。
咄嗟にしてしまったが、菊野の身体の柔らかさと軽さ、甘い髪の薫りに剛は媚薬を仕込まれたかのように一時(ひととき)
意識が飛びそうになる。
(この人は……女の人なんだ……)
と、今更ながら思い、自分の行動を軽率だったろうか、という考えが頭を掠めた。
菊野は頬を真っ赤に染めて潤んだ瞳でじっと見上げている。熱があるのかも知れないが、彼女のそんな様子に、危うく誤解をしそうになってしまう――と思った。
(誤解……て……一体何を誤解するんだよ)
突如胸の奥に生まれた不可解なむず痒さを、剛は自覚する前に打ち消す。
そっとベッドへ菊野を降ろすと、彼女は起き上がろうとする。
剛は苦笑して彼女に毛布をかけた。
「本当に無理しないでください……菊野さんが倒れたら……俺が……いや、皆が困ります」
「……う……うん……ありがと……」
菊野は、毛布を掴んだまま目元まで引き上げて、更に鮮やかに染まっていく頬を隠す。

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