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☆番外編あらかると☆
第3章 愛しては、ならない――切ないwhite day
剛は床にへたりこんだ菊野の腕を掴み立たせると、眉を寄せた。
「……大丈夫ですか?無理をしすぎたんじゃないですか?」
僅かに首を傾げた彼の前髪が一瞬菊野の頬に触れて、またしても心臓が跳ねてしまい叫びそうになる。
切れ長の色素の薄い瞳に至近距離で見詰められて、身体中の血液が沸騰するのではないか、と思うほどに体温が急上昇していく。
「ち、ちちちょっと貧血かな……でも大丈夫よ」
「……」
剛は、菊野の腕を掴んだままでいる。菊野は(これでは心臓とか、他にも色々もたないわ)と、何とか彼の腕から逃れようと考えるが、彼の眼差しに痺れてしまって動けない。
ボーンボーンボーン……
壁時計の時報に菊野はビクン、と身体を震わせるが、剛は全く動じずに呟いた。
「……三時ですね」
「そっそうね!おやつにするっ?」
そのタイミングで離れようとする菊野だったが、剛が離してくれない。
菊野は不安を覚え、彼を上目遣いで見たが、剛の口から発せられた思わぬ言葉に驚く。
「菊野さんは……悟志さんが初恋なんですか」
「――へ?」
「……清崎……さんに……俺の事が初恋なんだって、言われたんです」
「――っ」
甘く痺れていた胸は、途端に楔を打ち込まれた痛みに疼き出した。
バレンタインの日に剛にチョコを渡しに訪ねてきた清崎晴香の姿が剛の後ろに見えた気がして、目の奥が熱くなる。
泣いてしまいそうだった。

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