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☆番外編あらかると☆
第3章 愛しては、ならない――切ないwhite day
「ただいま……」
玄関が開く音と剛の声がして、菊野の全身が総毛立つ。
一緒に暮らすようになって三年経つのに、未だに彼の姿や声にドキドキしてしまう自分はなんというバカなのか。
もうすぐ三十才になる子持ちの女とは思えない。と我ながら呆れる。
(そういえば私、忙しくて朝からお化粧してない――!ど、どうしよう……て、剛さんには素っぴんなんか毎日見られてるし、関係ないけど……でも……せめて口紅かリップだけでも……!)
「お……お帰りなさい――っ」
返事をしながら、慌てて口紅をひき、ポケットに隠した。
剛がコートを脱ぎながらリビングへ入ってきて、大量の菓子を見て目を丸くする。
「……これは……頑張りましたね……て……いつも苦労をかけてすいません」
「いいのよう!私、こういうの好きだし、楽しいじゃない……人へ贈り物するって」
「……菊野さんはいつも楽しそうですね」
涼やかな笑顔で言われ、菊野はドキっとして赤面してしまったが、取り繕うように言う。
「い、いつも楽しそうって……本当に楽しいもの……こうして剛さんと――!……じゃなくて……み……皆で賑やかに暮らして……だ……だからっ」
「ふふ……そうですね……俺も、楽しそうな菊野さんを見ていると楽しくなります」
ドッキーン!という音が胸の中でしているのかと思うほどに心臓が跳ねて益々頬が熱くなる菊野は、彼から顔を背けて紙袋にクッキーを詰めていった。
「え……えっと、剛さんは30個で良いのよね!こうしておけば明日そのまま持っていけるものね……」
「……菊野さん」
「え?」
振り返ると、すぐそばに剛が真剣な表情で立っていて、菊野は腰を抜かしてしまう。

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