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☆番外編あらかると☆
第3章 愛しては、ならない――切ないwhite day
「……よしっ出来た!」
菊野は、ホワイトデー前日の昼下がり、キッチンで大量のお菓子作りに奮闘していた。
ハート、スター、花、人形……色んな形のクッキーを朝から焼いてアイシングで可愛らしく仕上げ、袋に詰めてラッピングしリボンできゅっと口を縛る。
カウンターからテーブルから隙間なくクッキーの袋がびっしりと置かれている光景に、菊野は満足げに頷いた。
エプロンを手で叩いて、形が崩れたクッキーを一かけらつまみ食いし、ドヤ顔で呟く。
「ああ……今日は頑張ったわあ……夕飯を仕込みながらのホワイトデーのお返し作り……
祐ちゃんの分が45個……悟志さんのが20個……剛さんのが30個!それから真歩とお母さんとお父さんへあげるのもいれて……98……個っ!
我ながらスゴくない?私、偉い――!」
程よい甘さのクッキーとレモンの皮のすりおろし入りのアイシングクッキーは絶妙な美味しさで、自画自賛してしまう。
世の中のバレンタインデーが女の子を持つ母親が大忙しのイベントなら、ホワイトデーは、男の子の母親が目を三角にして頑張る日だ。
今や、好きな異性に贈るだけではなく「友チョコ」なるものもある時代だから、親は苦労する。
いや、女の子の母親ならともかく、男の子の場合はどうなのだろう?
祐樹も剛もモテるので毎年沢山貰ってくるし、悟志も仕事関係の人から結構な数を貰うので、貰った時には「わあ――スゴい!」と感嘆のため息を吐いてしまうが、内心(これはまたお返しが忙しいわ……)と戦々恐々なのだ。
全部買っていたら物凄い額になってしまうので、手作りの方が少しは節約できる――というのもあるが、お菓子作りが好きだからさほど苦にはならない。
毎年この調子なので慣れたが、やはり、西本家の男性は沢山貰う方なのだろう。

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