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☆番外編あらかると☆
第2章 恋の速さはallegro non troppo
お気に入りの銀の蝶のワンポイント刺繍が入ったストッキングが破れているのが目に入り、悲しくてぶわっと涙が溢れた。
肩を震わせて泣く美名の頭を撫でながら、祐樹は子供をあやす様に言う。
「ああ……折角の可愛い膝が可哀想に……痛いの痛いの、とんでけ――」
「……ひっ……西本さんが……悪い……んです」
「え――俺が?」
「だって……わ……私をからかうからっ……」
「はい、できた!」
「?」
美名は、擦りむいた膝に若草色の薄手のストールが巻き付けてあるのに気付いた。
いつの間に巻かれたのだろうか?
祐樹が満足そうに頷くと、美名はストールに触れて恐縮しながら頭を下げる。
「あ……あの……これ、洗って返します」
「いいよ、あげる」
「えっ……」
「それ、美名ちゃんにあげるつもりで用意してたから」
「へっ?」
「いや……昨今は男からもするんでしょ?――バレンタイン」
「……っ」
美名の頬がまた赤くなっていき、祐樹はそれを面白そうに見ていたが、向こうに停まっているタクシーを気にする様に振り返ると、美名を抱き上げた。

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