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スローバラードを君に
第5章 恋人の逢瀬
「ああっ……やっちゃった」
美名は慌てて中身をかき集めている。
俺も手伝うが、荷物が大量にあるのに目を丸くした。
手鏡に口紅に、よくわからない液体の入った小さな小瓶、クマの縫いぐるみ……
歯ブラシセットにパジャマ……
まるでお泊まりの荷物だ。
考え込む俺の手からパジャマを奪い、美名はバッグに詰め込み玄関から出ようとする。
俺は後ろから抱き締めた。
「……泊まるつもりで来たの?」
「……っ」
美名は硬直した様に動かないが、その身体は熱い。
「俺の所に来て……朝まで居るつもりで来たの?」
逸る心臓を鎮める事が出来ず、声が上擦る。
美名は何も答えないが、俺の腕を震える手でギュッと掴んできた。

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