この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
sunset~君の光になりたい
第20章 遅れた告白
里沙は千波を毎日助け、クラス全員に立ち向かっていった。
いつかは、宮本の手に思い切り里沙が噛み付いて、縫う程の大怪我をさせて騒ぎになった事もある。
(――あの時、宮本君は……私と里沙が登校した時、いつものように私をからかいに来て……
彼が何か言って、里沙が激昂して噛み付いて――)
あの時、彼は確か……
――"おい鈴木千波!お前って〇〇〇なんだってなあ?"――
「!?」
不意に頭の中に、当時の光景が蘇りよろめいた。
頭がガンガン痛み、目の前に現実の光景ではなくセピア色の過去の光景が映画のように繰り広げられる。
嫌だ。見たくない。そんなもの見たくないのに。
小学生の宮本が言う。
"鈴木――お前〇〇〇なんだってなあ?なあ、〇〇〇て、どんなんなんや?教えてくれよ?!"
周りの男子が首を傾げる。
"宮本、その〇〇〇て、なんなん?"
"知らんのお前?〇〇〇ていうのはな……"
次の瞬間、クラスに悲鳴が響き渡り千波の頬を生暖かい何かが濡らした。
指で拭うと、それは赤い色をしていた。
千波はその場で気を失った。
薄れゆく意識の中見えたのは、真っ赤に染まった手を押さえうずくまり恐怖の悲鳴を上げる宮本の姿と、里沙の白いワンピースが血で真紅に染まっている光景。
「頭が――痛い……」
過去を思い出す時、現実と過去の区別がつかなくなり、自分がまるで今ここにいないかのような錯覚を起こす。
本当に乖離してしまう前に戻らなくては――
もう過去の映像を見たくない、思い出したくない。
覚めなくては。
覚めなくては。
千波は自分の頭を掻きむしり、手に持っていたボールペンを、無意識に手の甲に向かって振り下ろした。

作品検索
しおりをはさむ
姉妹サイトリンク 開く


