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迎春花が咲く
第4章 近づく不穏
「この愚息め! 跡継ぎを作る気はあるのか!」
「……」
「お前の価値は次の跡継ぎを作ること! それ以外に価値はない! ただ生きてるだけなら死んだ方がマシだ!」
ひどい言い様に絶句する。光春さまは何も言わない。そればかりか動じる様子もない。
そんな反応にますます不満を抱いたのか、眉間にしわを寄せる。
「初夜が終わるまではこの部屋から絶対に出さないからな! いいな!」
それだけを言い残すと部屋から出て行き扉を閉める。……鍵は閉まっていないようだった。こっそり出て行きたい。だが見つかった時のことを考えると決断することが出来なかった。義父がいつまでいるのか分からない。どうしたらよいのだろうか。
考えていると光春さまが立ち上がる。表情は前髪に隠れて見えない。だが良くない雰囲気だけは分かる。一体なにをするんだろうか。
光春さまは私に背を向けて椅子と向かい合う。そして椅子の背もたれ部分を持ち、窓の前に立ったのを見届けた。その瞬間椅子を窓に向かって叩きつけた。
素一郎様の怒鳴り声と同じくらい大きな音がしてガラスが割れ、床に散らばっていく。こんなにガラスが割れるのは戦中のとき以来ではないだろうか。その光景をただ見つめる。

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