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迎春花が咲く
第4章 近づく不穏
志津恵は本をそっと閉じる。
まさか官能小説だったとは思いもしなかった。しかも少女が義父に犯されるという生々しい内容だ。何をどうしたらこういうものが書けるのだろう。正直、凌辱ものは引いてしまう部分があった。正直、自分がされるのは絶対嫌だし人がされていると思うのもなんだか嫌だ。
そういう肌を重ねる行為は恋人同士や大切な者同士で愛を確かめ合うための行為として行うからこそ価値がある。相手を辱めたり好いていない者同士でしても仕方ないのだ。

『愛してるよ、志津恵。君を、愛してる……』

―――あの人はそう言ってくれた。切なく、甘い声で。何度も、何度も。きつく私を抱きながら唇を重ねて…。
思わず唇に手を当てる。

「志津恵さま!」
「はっ、はい!」

我に返ると同時に扉の向こうから突然名前を呼ばれ、驚きのあまり飛び上がる。宮子さんの声だった。慌てて机の上に本を置いて扉を開ける。

「お、おまたせしました」
「……志津恵さま、大丈夫ですか?」
「え?」
「出てくるまでにお時間がかかったのと声をかけた時に様子が……」
「あ、いや。ちょっと寝てたので」

私は笑ってごまかす。だが宮子さんは浮かない顔をしていた。いつもよりひどい顔だ。

「おやすみのところ申し訳ありません。ですがあの……」
「どうしたんですか?」
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