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迎春花が咲く
第4章 近づく不穏

しばらくして玄関の開く音と楽しそうな男女の会話の声、そして玄関の閉まる音とクルマのエンジン音がした。
遠ざかるエンジン音を自室で聞きながらあ、と声を出す。手頃な本があれば買ってきてほしいと言えば良かった。
このご時世、書物はかなり少ない。だからこの家に来る前までは町をくまなく散策して買っていた。それに小さい頃からの顔なじみで譲ってもらったりしていた。
……でもこの家にも一応、書物がないわけではない。むしろ多い方だ。
私は机の上に置いてある数冊の本のうちの一冊を手に取りベッドに寝転ぶ。
晶さんに本が読みたいと言ったところ数冊の本を部屋に持ってきてくれたのだった。それ以後も定期的に声をかけては新しい小説と交換してくれる。どんな本を持ってきてくれるのかは開くまでは分からない。晶さんが好きに選んで持ってきてくれる。
いつもは恋愛ものや推理物、それ以外でも本を開いて内容を少し確認するから似たようなものばかり読んでいた。今は推理物や恋愛ものはもちろん、聖書に古典、随筆や異国の文学……とさまざまなものを持ってきてくれる。最初は気が進まなかったが晶さんの選びがいいのか、どれも苦を意識することなく読んでいる。以前よりかなり偏りもなくなった。
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