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白衣を脱いだら~熟れた蜜の囁き
第9章 昔語り(3)
その約束の通り、一週間後、私たちは京都の嵐山を訪れ、その帰り道にあの遠い南の島の記憶を美香の口から聞くことになった。

「『美香、どこか行きたいところはある?』って彼に聞かれたから、つい『モルディブの海に行ってみたい』って答えたの。そしたら『旅費は全部出すから行こう』って話になって。本当に連れて行ってくれたわ」

彼女の瞳が、過去の光を思い出すように微かに揺れていた。

******
あそこは、あまりにもプライベートが守られていて、なんだか現実離れしていたわ。結婚してからも主人に『モルディブに行きたい』って冗談めかして言うけれど、『無理だな』の一言でいつも終わってしまうのよ。

四泊五日のモルディブ旅行だったの。大阪から直行便はないから、まずは成田まで飛んで、そこからシンガポールを経由してね。

現地に着いたときは、本当に言葉を失うほどすごかったわ。一つの島に数棟のヴィラが点在しているだけで、ビーチを歩いても他の誰ともすれ違わない。まるで自分たちだけのプライベートビーチよ。

現地のガイドから告げられたのは、「ゴミを海に流さないこと」「夜は海に泳ぎに出ないこと」といったいくつかの禁忌と、あとはただ自由に楽しんでほしいという言葉だけだった。

そこは、正真正銘の自由の世界だったわ。どこまでも透き通るサンゴ礁の青い海、眩しい白い砂浜、そして目の前に広がる水平線。まるでこの世の時間から切り離されたような、悠久の時が流れていたの。

旅行の最初と最終日だけは完全にフリーのスケジュールだったが、あまりにも自由すぎる空間に、私たちは最初のうち、何をどうしていいのかさえ分からなくなっていた。あまりの開放感に、彼はガイドにこんな冗談を尋ねたの。

「あの、全裸で泳いでもいいですか?」

「他の観光客の方もいらっしゃいますので、できればお控えくださいね。それに、人目につく場所での性行為もご遠慮ください。この島にいらして、時々そういうことをなさるお客様がいらっしゃいますので……」

日本人の女性ガイドは少し困ったように笑いながら答えた。

そんなこと言われるとおもってなかったのかしら?彼の驚いた顔がとっても可笑しかったの。そんな注意をされるなんて思わなくて、二人で顔を見合わせて思わず笑っちゃったわ。



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