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白衣を脱いだら~熟れた蜜の囁き
第8章 昔語り(2)
二人でシャワーを浴び、彼の腕枕に包まれたままピロートークを交わしているうちに、私はいつの間にか眠りに落ちていた。
朝、目を覚ましたとき、もう彼の姿はそこになかった。ただ、かすかに残る香水の匂いだけが、昨夜の現実を物語っている。
テーブルの隅に、一枚の置き書きが残されていた。
——昨日の夜は楽しかった。最高の夜でした。また会えたら嬉しいです。よければ連絡してください。
そこには見慣れない電話番号と、タクシー代が添えられていた。その文字を見たとき、胸の奥で何かが疼いた。ただお礼が言いたかったのか、それとも、どうしてももう一度彼の温もりに触れたかったのか——私は抑えきれない衝動に駆られ、すぐにMに連絡を入れてしまっていた。
「また声が聞けて嬉しいです。また会ってください」
受話器越しにそう口走った瞬間、私は自分自身が引き返せない領域に踏み込んでいることを悟った。
それからだった。Kという存在がありながら、私は年上の彼との秘められた関係をずるずると続けてしまった。
金曜日の夜はKと過ごし、土曜日の夜はMさんのもとへ通う。そんな歪な二重生活が日常になっていった。
Kとの時間はいつしか外食だけの淡いデートばかりになり、逆にMさんと過ごす部屋では、肌を合わせ、互いの飢えを確かめ合う時間ばかりが濃密に膨れ上がっていった。
Mさんは独身だったが、いつか結婚して二人で暮らすための新しいマンションをすでに購入し、そこに一人で住んでいた。
私は週に一度、その静かなマンションに通い詰め、彼の腕に抱かれた。
彼は私とKの関係を頭では認めてくれているようだったけれど、時折、瞳の奥に切実な色を浮かべて「彼氏と別れてくれないか」と催促するようになっていった。
その頃の私は、もはや体も心も、Mさんが醸し出す独特の影と甘さの虜になってしまっていた。
朝、目を覚ましたとき、もう彼の姿はそこになかった。ただ、かすかに残る香水の匂いだけが、昨夜の現実を物語っている。
テーブルの隅に、一枚の置き書きが残されていた。
——昨日の夜は楽しかった。最高の夜でした。また会えたら嬉しいです。よければ連絡してください。
そこには見慣れない電話番号と、タクシー代が添えられていた。その文字を見たとき、胸の奥で何かが疼いた。ただお礼が言いたかったのか、それとも、どうしてももう一度彼の温もりに触れたかったのか——私は抑えきれない衝動に駆られ、すぐにMに連絡を入れてしまっていた。
「また声が聞けて嬉しいです。また会ってください」
受話器越しにそう口走った瞬間、私は自分自身が引き返せない領域に踏み込んでいることを悟った。
それからだった。Kという存在がありながら、私は年上の彼との秘められた関係をずるずると続けてしまった。
金曜日の夜はKと過ごし、土曜日の夜はMさんのもとへ通う。そんな歪な二重生活が日常になっていった。
Kとの時間はいつしか外食だけの淡いデートばかりになり、逆にMさんと過ごす部屋では、肌を合わせ、互いの飢えを確かめ合う時間ばかりが濃密に膨れ上がっていった。
Mさんは独身だったが、いつか結婚して二人で暮らすための新しいマンションをすでに購入し、そこに一人で住んでいた。
私は週に一度、その静かなマンションに通い詰め、彼の腕に抱かれた。
彼は私とKの関係を頭では認めてくれているようだったけれど、時折、瞳の奥に切実な色を浮かべて「彼氏と別れてくれないか」と催促するようになっていった。
その頃の私は、もはや体も心も、Mさんが醸し出す独特の影と甘さの虜になってしまっていた。

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