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白衣を脱いだら~熟れた蜜の囁き
第8章 昔語り(2)
「Kくんに悪いって、思わなかったの?」
ふと、そんな問いが昭吾の口をついて出た。自分の声がひどく掠れているのに気づく。
「嫌なとこ突くわね……なんだか、私がすごく悪いことをしたみたいじゃない。……あなただって今、散々遊んだるでしょ? もう、なんなのよ」
美香はそこでわずかに言葉を切り、前を向いたまま黙り込んだ。ジャズ音楽の音だけが、静かに車内を流れている。彼女の横顔がほんのりと赤く染まって見えた。その目元が、かすかに潤んでいる。
「すいません……気に障りましたか?」
昭吾の声を遮るように、美香は小さく笑った。その笑みは、どこか切なく寂しげだった。
「ううん。全然。怒ったふりよ。……びっくりした? 昔の思い出を少しだけね。……もう今となっては良い思い出にすぎないわ」
潤んだ瞳で、美香はこちらをまっすぐに見つめた。その視線の奥には、いまだに冷めきらない熱と、長い歳月が静かに磨き上げた寂寥のようなものが、同時に揺れていた。
美香の中に眠っていた激しいものは、今もなお、こうして静かに息を潜めている。表には決して出さないが、確かにそこにある。彼女というひとりの女性の底知れない深みを形作っているもの。無意識の欲望は消え失せることなく、ただ静かに、彼女の人生の底を流れ続けていることが、昭吾の心の中にストンと落ちていった気がした。
そして美香は、またゆっくりと語り始めた。
その声は低く、どこか遠い異国の場所から聞こえてくるようだった。車はパーキングを目指し、夜の街を静かに走り続けている。灯りは流れ、時間は流れ、ただ記憶だけが、あの夜のホテルの一室へと静かにとどまり続けていた。
ふと、そんな問いが昭吾の口をついて出た。自分の声がひどく掠れているのに気づく。
「嫌なとこ突くわね……なんだか、私がすごく悪いことをしたみたいじゃない。……あなただって今、散々遊んだるでしょ? もう、なんなのよ」
美香はそこでわずかに言葉を切り、前を向いたまま黙り込んだ。ジャズ音楽の音だけが、静かに車内を流れている。彼女の横顔がほんのりと赤く染まって見えた。その目元が、かすかに潤んでいる。
「すいません……気に障りましたか?」
昭吾の声を遮るように、美香は小さく笑った。その笑みは、どこか切なく寂しげだった。
「ううん。全然。怒ったふりよ。……びっくりした? 昔の思い出を少しだけね。……もう今となっては良い思い出にすぎないわ」
潤んだ瞳で、美香はこちらをまっすぐに見つめた。その視線の奥には、いまだに冷めきらない熱と、長い歳月が静かに磨き上げた寂寥のようなものが、同時に揺れていた。
美香の中に眠っていた激しいものは、今もなお、こうして静かに息を潜めている。表には決して出さないが、確かにそこにある。彼女というひとりの女性の底知れない深みを形作っているもの。無意識の欲望は消え失せることなく、ただ静かに、彼女の人生の底を流れ続けていることが、昭吾の心の中にストンと落ちていった気がした。
そして美香は、またゆっくりと語り始めた。
その声は低く、どこか遠い異国の場所から聞こえてくるようだった。車はパーキングを目指し、夜の街を静かに走り続けている。灯りは流れ、時間は流れ、ただ記憶だけが、あの夜のホテルの一室へと静かにとどまり続けていた。

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