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白衣を脱いだら~熟れた蜜の囁き
第8章 昔語り(2)
梅田の、ある有名なホテルの最上階のバーへと連れて行かれた。
窓際にずらりと並ぶカウンターから見下ろす夜景は息を呑むほど美しかった。今思い返すと可笑しくなるが、そんな高級な場所に慣れていないくせに、何度も来たことがあるような顔をして必死に気取っていた。
グラスの縁に指をかけ、自分の指先をじっと見つめる。震えていないか、確かめるように。だが本当は、指先が震えていたのは恐怖からではなく、胸を高鳴らせる未知への期待からだったのかもしれない。
Mが静かに口を開いた。
「彼氏、いるんでしょ?」
「いませんよ。いたらこんなパーティになんて参加しません」
「嘘つかなくていいよ。わかるからさ……好きなの? その彼のこと」
「いつから気づいてたんですか?」
「北新地で飲んでいるときからずっとね」
私は俯き、掠れた声で小さく答えた。
「ごめんなさい。付き合って三ヶ月ぐらいの彼氏がいます」
「じゃあ、なんであのパーティになんて参加したの?」
「友達に誘われたから……。会社から勧められたものにあまり顔を出さないと、登録を切られちゃうの。……ごめんなさい」
「いや、いいんだよ。彼氏がいたって構わないさ。君はコンパニオンじゃないんだから、参加することが仕事ってわけじゃない。今はこの出会いを楽しもうよ」
彼は少し間を置いて、こう続けた。
「俺、あのパーティで君のことが好きになったんだ。ねえ、今夜は彼氏のことなんてすっかり忘れて、俺と遊んでみない?」
彼の手が、すっと私のスカートの中に滑り込んできた。指先が太ももの内側を這い上がり、敏感な部分を捉える。熱がゆっくりと体中に広がっていく。私は彼の腕にそっと手を添えただけだった。抵抗するどころか、その熱をただ無防備に受け入れている自分に、我ながら少し驚いていた。
「んっ……」
小さく、甘美な吐息が漏れた。自分でも信じられないほど甘い声だった。心のどこかで「ダメだ」と戒めているのに、体はあまりにも素直に反応してしまっている。その矛盾が静かな苦しみを生む。だがその苦しみの奥底で、私の無意識は狂喜していた。ようやく、ずっと閉ざしていた蓋を開けてもらえた、と。
窓際にずらりと並ぶカウンターから見下ろす夜景は息を呑むほど美しかった。今思い返すと可笑しくなるが、そんな高級な場所に慣れていないくせに、何度も来たことがあるような顔をして必死に気取っていた。
グラスの縁に指をかけ、自分の指先をじっと見つめる。震えていないか、確かめるように。だが本当は、指先が震えていたのは恐怖からではなく、胸を高鳴らせる未知への期待からだったのかもしれない。
Mが静かに口を開いた。
「彼氏、いるんでしょ?」
「いませんよ。いたらこんなパーティになんて参加しません」
「嘘つかなくていいよ。わかるからさ……好きなの? その彼のこと」
「いつから気づいてたんですか?」
「北新地で飲んでいるときからずっとね」
私は俯き、掠れた声で小さく答えた。
「ごめんなさい。付き合って三ヶ月ぐらいの彼氏がいます」
「じゃあ、なんであのパーティになんて参加したの?」
「友達に誘われたから……。会社から勧められたものにあまり顔を出さないと、登録を切られちゃうの。……ごめんなさい」
「いや、いいんだよ。彼氏がいたって構わないさ。君はコンパニオンじゃないんだから、参加することが仕事ってわけじゃない。今はこの出会いを楽しもうよ」
彼は少し間を置いて、こう続けた。
「俺、あのパーティで君のことが好きになったんだ。ねえ、今夜は彼氏のことなんてすっかり忘れて、俺と遊んでみない?」
彼の手が、すっと私のスカートの中に滑り込んできた。指先が太ももの内側を這い上がり、敏感な部分を捉える。熱がゆっくりと体中に広がっていく。私は彼の腕にそっと手を添えただけだった。抵抗するどころか、その熱をただ無防備に受け入れている自分に、我ながら少し驚いていた。
「んっ……」
小さく、甘美な吐息が漏れた。自分でも信じられないほど甘い声だった。心のどこかで「ダメだ」と戒めているのに、体はあまりにも素直に反応してしまっている。その矛盾が静かな苦しみを生む。だがその苦しみの奥底で、私の無意識は狂喜していた。ようやく、ずっと閉ざしていた蓋を開けてもらえた、と。

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