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白衣を脱いだら~熟れた蜜の囁き
第7章 昔語り(1)
車内にはジャズが低く流れ続けていた。
十月の光がフロントガラスを斜めに切り、美香の横顔を淡く照らしている。彼女の頰には、先ほどの触れ合いの名残のような薄い赤みが残っていた。
「ねえ、君にも、これだってモテ期ってあったの?」
「今がまさに、その時だと思います」
「へえ……そうなんだ」
「美香さんみたいな素敵な女性と出会えた。だから、そう思います」
昭吾はハンドルを握ったまま、小さく息を吐いた。少しきまり悪そうに、しかし隠すでもなく口元を緩める。
「……まあ、普通じゃないのは自覚してます。年の近い子と遊んでるより、美香さんと話してるほうが落ち着くっていうか」
言いながら、昭吾は一瞬だけ美香のほうへ視線を送った。目は真面目で、どこか素直だった。
美香は小さく鼻で笑った。怒りでも蔑みでもなく、ただ面白がっているような、軽い音だった。
「落ち着く、かあ。でも、大学の今がモテ期だって言うのに、同世代の女の子じゃなくて、人妻の私を選ぶところ……よっぽど、変わったものが好きなのね、君は」
そう言いながら、美香は窓の外に目を向けた。口元の笑みはまだ消えていない。
「私を言葉で濡れさせることってできる?」
昭吾はハンドルを握ったまま、視線を前方に向けた。記憶が、秋の光のようにゆっくりと苏ってくる。
***********
大学二年のころだった。ボート部に籍を置き、週に二度、先輩の紹介でスナックの手伝いをしていた。ママとチーママ、そしてバレー部の先輩と自分の四人で回す小さな店。客の多くはママやチーママを目当てに来る人たちだったが、やがて自分を目当てに足を運ぶ人も現れた。
真奈美という女性だった。甘く沈んだ声をしていて、スナック近くの居酒屋で働いているという。素性ははっきりしなかったが、四歳ほど年上で、昼間は大学に通っているらしい。マンションが自分のアパートの近くだと知ったのは、彼女のほうから夕食に誘われたあとのことだった。
十月の光がフロントガラスを斜めに切り、美香の横顔を淡く照らしている。彼女の頰には、先ほどの触れ合いの名残のような薄い赤みが残っていた。
「ねえ、君にも、これだってモテ期ってあったの?」
「今がまさに、その時だと思います」
「へえ……そうなんだ」
「美香さんみたいな素敵な女性と出会えた。だから、そう思います」
昭吾はハンドルを握ったまま、小さく息を吐いた。少しきまり悪そうに、しかし隠すでもなく口元を緩める。
「……まあ、普通じゃないのは自覚してます。年の近い子と遊んでるより、美香さんと話してるほうが落ち着くっていうか」
言いながら、昭吾は一瞬だけ美香のほうへ視線を送った。目は真面目で、どこか素直だった。
美香は小さく鼻で笑った。怒りでも蔑みでもなく、ただ面白がっているような、軽い音だった。
「落ち着く、かあ。でも、大学の今がモテ期だって言うのに、同世代の女の子じゃなくて、人妻の私を選ぶところ……よっぽど、変わったものが好きなのね、君は」
そう言いながら、美香は窓の外に目を向けた。口元の笑みはまだ消えていない。
「私を言葉で濡れさせることってできる?」
昭吾はハンドルを握ったまま、視線を前方に向けた。記憶が、秋の光のようにゆっくりと苏ってくる。
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大学二年のころだった。ボート部に籍を置き、週に二度、先輩の紹介でスナックの手伝いをしていた。ママとチーママ、そしてバレー部の先輩と自分の四人で回す小さな店。客の多くはママやチーママを目当てに来る人たちだったが、やがて自分を目当てに足を運ぶ人も現れた。
真奈美という女性だった。甘く沈んだ声をしていて、スナック近くの居酒屋で働いているという。素性ははっきりしなかったが、四歳ほど年上で、昼間は大学に通っているらしい。マンションが自分のアパートの近くだと知ったのは、彼女のほうから夕食に誘われたあとのことだった。

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