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ヒミツのカルテ
第2章 由梨加(20)生理痛
「恥ずかしくなっちゃうね。」
由梨加が必死に脚を閉じようと体をこわばらせているのを見て、中山は困ったような、それでいて包み込むような優しい笑みを浮かべた。
「大丈夫だからね。まずは緊張を少しずつほどいていきましょうか」
中山は優しく声をかけながら、由梨加の震える両手をそっと包み込むようにして、その手を由梨加自身の胸の上に優しく置いた。
「そうだね、まずは両手を胸の上に置いて……。うん、上手。そして、一度ゆっくり目を閉じてみましょうか」
言われるがままに目を閉じると、視覚から入ってくる恥ずかしさや恐怖が少しだけ薄れていく。
「それじゃあ、私と一緒に呼吸を合わせようね。息を大きく吸って……、ふーっ、ふーっ……」
中山が目の前で、まるで寄り添うように優しく息を吐き出す。
そのリードに合わせるように、由梨加も「ふーっ、ふーっ……」と、胸の上の手に意識を向けながら、ゆっくりと息を吐き出した。
トントン、とリズムをとるように中山が優しく胸元に触れてくれる温もりと、規則正しい呼吸の音が、由梨加の早鐘を打つような心臓の鼓動を少しずつ落ち着かせていく。
「そう、いい調子ですよ。息を吐くたびに、体の力がスーッと抜けていくからね……そう、上手。じゃあ、そのまま目は閉じたままで、ゆっくり深呼吸を続けようね」
中山の優しく穏やかな声が、由梨加の耳元でふわりと響く。
「先生は、由梨加さんの味方だからね。ずっとそばにいるから、安心して力を抜いて大丈夫だよ」
その心強い言葉を合図にするように、中山はベッドの足元へと静かに移動した。
先ほどまでこわばっていた由梨加の脚に、そっと温かい手が触れる。
(あ……、あたたかい……)
医療用の手袋越しの冷たさではなく、人の肌の温もりがダイレクトに伝わってくるような、優しく包み込むような手つきだった。
その心地よい温もりが伝わってきた瞬間、由梨加の中でまだ張り詰めていた警戒心や恐怖が、まるで雪解け水のようにスルスルと溶けていくのを感じる。
「ふーっ、ふーっ……」
中山のリードに合わせて、由梨加は目を閉じたまま小さく息を吐き出した。

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