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ヒミツのカルテ
第2章 由梨加(20)生理痛
中山は手元の問診票にそっと視線を落とし、書かれた文字を優しくなぞるようにしてから、再び由梨加の顔をじっと見つめた。
「本当に大変でしたね。お腹の中で何か原因が起きている可能性もありますから、こうして一歩を踏み出してくれたことはとても大切ですよ」
由梨加は、中山の落ち着いた穏やかな声に少しだけ肩の力を抜き、小さくうなずいた。
「はい……。あの、私、婦人科に来るのが初めてで、このあと……その、診察って、やっぱりいろいろされるんでしょうか……?」
不安そうにぎゅっと膝の上のハンカチを握りしめる由梨加に、中山は否定せず、柔らかく微笑みながらうなずいた。
「そうですよね、初めての場所で、自分の身体の大切なところを見せるのは、怖くて当たり前です。安心してくださいね。今日は、いきなり何かを無理にしたりはしません」
そう前置きをしてから、中山はひとつひとつ、優しく丁寧に説明を始めた。
「まず、原因をきちんと知るために『内診』という検査を行うことになります。見た目はふわふわなベッドの形になっていますので、まずはそこにゆったりと寝転がっていただいて、膝を立ててもらう姿勢になります。」
「…はい……」
由梨加の表情を確認しながら中山はさらに優しく言葉を重ねた。
「準備ができたら私がスイッチを押します。すると、自動で背中の部分が少しだけ起き上がって、同時に脚が自然と開いていく姿勢になる仕組みになっています。
よくある内診台と違ってここはお腹の前のカーテンがないので、私の顔もちゃんと見えますし、今から何をするのか、声をかけながら説明しながら進められます。ひとりぼっちにさせたりしないから、安心して身を任せてくださいね」
「…はい」
「検査自体も、ゆっくり行いますが、もし、途中で『あ、ちょっと怖いな』『痛いな』って感じたら、いつでも言ってくださいね。すぐに手を止めますから」
「いつでも……止めてもいいんですか?」
「もちろんですよ。ここは由梨加さんのための場所です。あなたの身体の主導権は、いつだって由梨加さん自身にありますからね」
中山のその言葉は、由梨加が心の底から安心感を抱くのに十分すぎた。
これまでの人生でずっと膨らませていた病院への恐怖と警戒心が、山中の温かい眼差しと丁寧な説明によって、少しずつ、確かな信頼へと変わっていくのを感じる。

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