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ヒミツのカルテ
第2章 由梨加(20)生理痛
「……また、だ……」
ベッドの上で身体を丸めながら、由梨加はうめき声を漏らした。
今月もまた激しい生理痛のせいで大切な講義を休むことになってしまった。
市販の痛み止めを飲んでも、まるで効いている実感がない。
下腹部を鈍器で殴られているような鈍い痛みに加え、冷や汗と吐き気まで襲ってくる。
病院に行った方がいいことは頭ではわかっているが、心の底から怖くてたまらない。
冷たい診察台、得体の知れない器具の数々、そして何より――男性の医師に自分の身体のこんなプライベートな部分を見せ、診察される想像をするだけで、恐怖と羞恥心で心臓がバクバクと鳴り、過呼吸になりそうだった。
――『女性医師による、女性のための完全予約制クリニック』
痛みに耐えかねて深夜に検索しまくった、とあるクリニック。
「……ここなら、もしかしたら……」
男性の先生ではない。女性特有の悩みに寄り添ってくれる場所。
すがるような思いでホームページを見つめ、由梨加は震える指で予約ボタンを押した。
数日後。
由梨加は、緊張で冷や汗をにじませながら、クリニックの前に立っていた。
心臓がうるさいほど激しく脈打っている。今すぐにでも引き返して、ベッドに戻りたい。
そんな逃げ出したい衝動に駆られながら、それでも意を決して小さく息を吸い込み、恐る恐るドアを開けた。
案内通り、空室のお部屋に入り、問診票を記入する。
コン、コン、コン。
静寂な部屋にノックの音が響いた。
入ってきたのは女性医師。35歳前後くらいだろうか。
すっきりと結い上げられた髪に、知的な美しさを漂わせる綺麗な顔立ち。
大人の余裕と、どこか母親のような包容力を感じさせる女性だった。
「こんにちは。はじめまして。医師の山中と申します。」
その声はとても穏やかで、凍りついていた由梨加の緊張をふっと和らげるような優しさに満ちていた。

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