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その足に頬を寄せたい
第1章 その足に頬を寄せたい
達紀に向かい、そう声をかけた。
連絡先を教えあったりすることは今日はなかったが、先週会った時に二人はしていたんだろう。僕は彼女の連絡先を知らない。交換したいと口に出す勇気はなかった。
達紀のように、スマートに、女性をご飯やお酒に誘ったりできればいいのかもしれないが、僕にはどうしても無理だった。
「ずいぶん綺麗になってたな、朋子」
「うん」
「また飲みたいな」
「うん、そうだね」
「……まだ好き?」
「う……え?」
驚いて、ばっと振り返る。
「高校の頃好きだっただろ? わかりやすかったぞ」
バレていたなんて。羞恥で顔が真っ赤になる。
だが同時に、なんとも言えない惨めな気持ちにもなった。
だからわざわざ三人での飲みを計画してくれたのか。僕が彼女に会えるようにセッティングしてくれたとでも言うのだろうか。
自分で誘えない、連絡先すら聞けない『友人』の僕のために。
達紀なら、場を盛り上げられる。朋子を楽しませられる。僕みたいに、変な妄想ばかりして黙り込まない。
だから。わざわざ。
「……もう好きじゃない。そういうのおせっかいで迷惑だから」
僕はつい、冷たい口調で達紀を拒絶してしまった。
達紀の方を見れず、歩き出す。ちょうど別れ道だった。
「智」
名前を呼ばれたが、返事もせずに歩くペースを速めて逃げるように家に向かった。

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