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その足に頬を寄せたい
第1章 その足に頬を寄せたい
ふと思い出し、僕は足を止めた。そういえば、さっき朋子に貰った紙のような何か。あれはなんだろう。
もしかしたら、彼女から連絡先を教えてくれたのかもしれない。
僕は急いでズボンのポケットを探った。
「これって、名刺……?」
確かに、名刺みたいだなとは思ったが、まさか本当にそうだとは思わなかった。勤めている会社のものかと思ったが、驚いたことに、そこには『SMクラブparadise《パラダイス》』とあった。蝶の模様と共に、アゲハという名前が書かれていて、源氏名らしい。
SMクラブ? アゲハ? いったいどういうことだ?
僕の頭は混乱していたが、気付けば名前の横の携帯番号にかけていた。
「早かったね」
クスクスと、笑う声までがどこか色っぽい。
「今からでも大丈夫だよ。おいでよ、智。あなたの欲求、晴らしてあげる」
状況を全部把握できたわけではなかったが、お酒が入っているからなのか、妙に冷静だった。ふわふわと、まるで蝶が花の蜜に誘われるように、僕は朋子の、いや、アゲハの声に誘われ、教えられたホテルに向かった。
アゲハは部屋で待っていた。先ほどとは違う、エナメル素材の黒いロングブーツ。上は青色のワンピースではなく、白いシャツだけだった。ギリギリお尻のラインが隠れるかどうか。かなり際どい格好だった。
僕は直視できず、目線を逸らしてしまった。
「店でずっとあたしの足見てたでしょ? 足っていうか、ブーツかな? ちらちら視線感じてたよ」
「それは……」
「いーよ、見て。触ってもいいし、智の好きにしていい」
「とも……」
「今はアゲハ」

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