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その足に頬を寄せたい
第1章 その足に頬を寄せたい
その数日後。朋子が東京に帰ったことを達紀から聞かされた。
会社の喫煙所に呼び出されて。僕は煙草は吸わないけれどわよく達紀の一服のタイミングで呼ばれたりする。秘密の話がある時などに。
「あー……なんか朋子、結婚するみたい」
本人に聞いていたから知っていたが、僕は初めて聞いたことにして驚いてみせた。
「ごめんな、この前勝手に余計なことして」
「何が……?」
「いや、あー、覚えてないか。酔ってたもんな。ならいいんだ、忘れてくれ」
本当は覚えていた。帰り際に言った、おせっかいは迷惑、という言葉を気にしていたのだろう。僕は都合がいいかなと思いつつ、忘れたふりを貫くつもりでいた。
別に、達紀に悪気がないのも知っている。ただの僕の嫉妬からなら感情だから。
悪いのは、つい卑屈になってしまった僕だ。達紀は、いいやつだ。
「華がなくなっちまったけど、また金曜飲み行くか」
「うん」
僕は頷き、達紀の咥える煙草から登る紫煙をゆったりと眺めた。

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