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妻であること、女であること(仮
第7章 本当のこと
次の日の午後
インターホンがなった。

念の為カメラを確認すると、帽子を深く被った陶子さんが写っていた。

「すぐ開けまーす」

あまり深刻になり過ぎないよう、俺は声のトーンを上げて陶子さんを迎え入れた。

「お邪魔…します」

周囲を気にしてるのか、
陶子さんは囁くようにそう言いながら玄関の中へ入った。
そんなに気にすることないと思うんだけど。

「さ、奥まで入って座ってください。
疲れましたよね」

「ううん、ありがとね」

陶子さんは、ちょっとキョロキョロしながら帽子を脱ぐと、クスッと笑った。

「え?どうかしました?」

「だって、あんまり変わってない」

陶子さんは、部屋の様子が昔とあまり変わらないことがおかしかったみたいだ。

「あはは、結局こうなっちゃうんですよねー」

俺の部屋には昔から椅子がない。
ソファも高さの低いもので、それ以外は床に敷いてあるラグに座る感じなんだ。

「ここで寝ちゃう感じ?」

「そうそう。
たまにソファで寝落ちが気持ちいいんですよ。
相変わらずです。
どうぞ座ってください」

「うん、ありがと」

「コーヒーでいいですか?
お昼、たまごサンドとか色々買っときました。
まずはしっかり食べてください」

「ありがとー。
じゃあ、コーヒーお願いします」

陶子さんは嬉しそうにそう言ったのに、食欲がないみたいだった。
サンドイッチは一切れ食べただけで、コーヒーもさほど飲んでいない。
昨日も今朝も、何も食べてないんじゃないかな。

「コーヒーじゃないものがいいかもですね」

「え?」

「胃がやられますよ。
陶子さん、胃が弱いんですから」

俺はそう言って台所へ行き、あったかいココアを入れてソファに戻った。

「昔、よく飲んでましたよね、ココア。
胃が弱いのに、まだコーヒー飲むのやめてないんですか?
もっと自分を大事にしないと。
食欲もないんじゃないですか?」

そう言ってココアをテーブルに置くと、陶子さんの目に涙が溢れた。

「そんな、優しくしないで・・泣いちゃうじゃない」

「泣くの、よく今まで我慢してましたね。
一目見た時から、やつれたなって思ってましたよ」

そう言うと、陶子さんは膝を抱えて泣きはじめてしまった。

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