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妻であること、女であること(仮
第7章 本当のこと
「二人で出かけたり、旅行とかしないんですか?」

「うん…。
野球忙しいし、野球ない日は疲れて寝てたり。
一番最近二人で出かけたのは、息子の引越しの時かな」

「息子って何歳ですか?」

「二十歳」

「え?じゃあ引越しって二年前?」

「そうだね…」

陶子さんは遠くを見るような目で、窓の外を見た。
懐かしいなーって感じで。
夫婦ってそんなもんなのかな。
色んな形があるとは思うけど、明らかに陶子さんは満たされていないんだなと感じた。

「陶子さん、ずっと寂しかったんじゃないですか?」

「ん〜…、まぁね…」

奥歯に物が挟まったような言い方だ。
それと同時に、陶子さんの表情がまた儚げになった。そして、少しずつ飲んでいたココアがなくなり、俺が飲んでいた甘いコーヒーも無くなった。

何が『まぁね』なのか
どんな風に寂しかったのか
夫婦生活に満足してたのか
レスになっても愛されていたのか

俺は、陶子さんに聞きたいことがどんどん溢れてきて、陶子さんにある提案をした。

「俺、ちょっと買い物行ってきます。
晩飯、ここで食べましょう。
酒でも飲んで元気出して下さい」

そう言うと、陶子さんは少し涙ぐんで、小さく頷いた。

「好み変わってませんか?
食べ物とか酒とか」

「うん」

「じゃあちょっと行ってきます。
トイレはあそこ。
昨日寝られてないなら、ソファで横になっててください。
あ、えーっと、これ使って」

寝室からケットをとって陶子さんに手渡し、俺は携帯と財布を持って玄関に向かった。
そして玄関で振り向いてひと言添えた。

「一時間は帰ってきませんから、ゆっくりしててください」

ソファに座ってる陶子さんは、素直に、黙ったまま頷いた。


それから俺が部屋に戻ったのは、1時間半後だった。
そっと鍵を開けて中に入ると、ソファに横になり眠っている陶子さんが見えた。
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