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妻であること、女であること(仮
第6章 一人の時間で思い出すこと
『陶子さん、時々俺の部屋に来てたの覚えてますか?』

『もちろん。よくお酒も飲んだよね』

『はい。陶子さんが今村さんにアプローチする作戦会議よくやってました』

『そうそう、懐かしいな』

『また来てもいいですよ、部屋に。
色々作戦会議しましょうよ』

あの頃みたいに。
酒を飲みながら。

『部屋は…まずいかな』

『ですよね笑
そう言われると思ってました』

『じゃあ言わないでよ』

『でも、辛くてたまらなくなったら、いつでも来てください。
住所は〇〇町〇〇マンションです』

強引なのはわかってる。
それでも止められない自分がいたんだ。
あの日のことを〇〇〇〇〇〇〇から。

『うん、ありがとね。
本当にスーパーの近くなんだね』

『そうなんです。
来たくなったらいつでも連絡下さい』

そうメールをしたあと、陶子さんからしばらく返信がなく、
ちょっとしつこかったかなと反省し始めたころ、やっと返信が来た。

『帰ってきた。寝たふりする。
ありがとう。おやすみなさい』

なるほど。
やっと帰ってきたんだ。
本当にムカつく奴だ。
陶子さんは無茶苦茶悲しい思いをしてるのに…。

レスや浮気は、もちろん身体がとても寂しい。
けどそれ以上に、心が虚しく悲しいんだ。
愛してるなんて言わないかわりに、
抱き合えば愛してると囁いてもらった気持ちになる。
要は、心が満たされるわけだ。
でも陶子さんは、満たされることなく10年以上も耐えてきた。
それを、旦那はわかってんのか?
考えれば考えるほとイラついて仕方がない。

けど、陶子さんはそんな旦那が好きで、
なんとか関係を修復しようとしてる。
そして俺は、その相談相手。
くそっ、あの頃と全く変わってないじゃないか…
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