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妻であること、女であること(仮
第4章 私に似た女
「ごめんなさい」

「いいですよ、どうぞ」

携帯の確認を促すと、陶子さんは携帯を確認し、その後、また静かに目を閉じた。
そして、今にも泣いてしまいそうな声で呟いたんだ。

「遅くなっても大丈夫。
夫も…帰り遅いみたいだから」…と。

それから陶子さんは髪で顔を隠すようにうつむいてしまったんだけど、
静かに、泣いているようだった。

「じゃあ、少し車を走らせていいですか?」

俺の言葉に陶子さんが小さく頷いたのを確認し、俺は車のハンドルを握った。

泣いているのを見られたくないんだろう。
でも、泣いてしまったなら、泣かせてあげたい。
俺が、運転をしている間、ゆっくりと泣いて下さい、陶子さん。

駐車場をでて、俺は街から離れる方向へ車を走らせた。
ただ黙ったままの陶子さんは、
バックから取り出したハンカチで涙を拭っていた。

15分ほど経った頃、陶子さんはやっと落ち着いたようで、俺に話しかけた。

「ありがとね、西谷君」

「いいえ、これくらいなんでもないし
陶子さんとドライブできるなんて最高です」

そう言いながら笑って見せると、
目を赤くした陶子さんは、クスっと笑った。

「泣いたらちょっとスッキリした」

「よかったです」

「西谷君」

「なんですか?」

「今日、もう少し私と一緒にいてくれる?」

その言葉、待ってました。

「もちろんです。
むしろ一緒にいたいです。
こんなままの陶子さん帰せませんよ。
俺の部屋に連れて帰ろうかな」

「え?」

言ってしまった
と、思ったけど時すでに遅し。
部屋に連れて帰るとか
冗談でも、それはちょっと言い過ぎだ。
来てくれたら無茶苦茶嬉しい、とは思ってるけど。

「あー、冗談冗談。
連れ去ったりはしませんから安心して下さい」

「わ、わかってるよ。
冗談だってことくらい」
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