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真夏の熟果-裂けて堕ちたザクロの緋い実
第11章 一枚上手
彼らの要求を受け入れるしか選択肢はなかった。


バラされる可能性は高くはないと思っていた。

少なくとも夫に知られることは、

彼らにとってもリスクがあるはずだった。


しかし、娘…。


それは、想定外だった。

娘の存在を知られるという可能性や、

家の場所を知られてしまうという可能性を

私は考えていなかった…。

悔やんでも仕方がなかったが、

あの砂浜で、動画を撮られ、

弱みを握られた時点で、

こうなることは

決まっていたのかもしれないと、思った。

結局、あの後の展望台での一部始終は、

動画が追加されただけだった…。


「今日はどういうつもりで参加できないとか言い出したんだ?」


目の前に立つ翔太くんが訊く。

私は咄嗟に考えた。

彼らは動画を夫や娘にバラすぞと脅している。

だったら、


「それは…。連日、夜中に家を抜け出してバレないと思っているの?家には、夫も娘もいるのよ。二人が起きている時間に家を抜け出すのはリスクがあるの」


と、私は動画で脅されても、

夜に家を抜け出していることが、

そもそもバレたら、

すべてが露呈する可能性を説明した。


「そうなのかい?ま、時間は遅くてもいい。俺達の呼び出しには応じろ」


納得した風な翔太くんが話すと、

壮太くんが、後ろから、


「で、今日は無理と言っていたのに、抜け出せたのはどういうこと?」


と、訊きながら、私の尻を、また、叩いた。

痛みで一瞬、考えていた答えが消えそうになった。


「娘が寝たからよ。受験勉強で、寝るのが遅いの」


私が話すと、


「受験勉強か。高校受験。大変だな」


と、翔太くんが話した。


「そうだな。俺達は楽だったけどな」


壮太くんが話した。


「ま、俺達の場合、高校入試って言っても名前を書くだけだったしな」


翔太くんと壮太くんが笑った。


「俺も似たようなものだったから、受験勉強ってよくわからないね」


俊也くんも笑った。

受験勉強とは無縁だった様子。


「俺は姉が受験勉強していたから、大変さだけはわかるけどな」


翔太くんが話した。


「私も高校受験って経験ないわ。小学校からずっとエスカレーターで上がって、今の大学に進学したから」


葵ちゃんが笑った。

父子家庭で、エスカレーター進学。

驚いた私。
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