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真夏の熟果-裂けて堕ちたザクロの緋い実
第6章 イキ狂い
だから、この声の意味が

わかっていなかった。

戸惑っている間に、

声が大きくなってきて、


「あんっ!い、イク!んんんっ!!!」


と、聞こえてきて、

え?なに?なに?

行くって、どこに?

ここ、女子トイレだし、

そこは個室のなか…

バージンだったから、

イクという意味すらわからず、

大混乱…。


ジョロジョロロロロロ…。


トイレをしている音が

静まり返っている女子トイレに

響いていた…。


「で、でるっ!!でるぅ…」


声の後に、


「ハッ、ハッ、ハァぁぁあああ!」


という喘ぐ声が続いた。

尿をするのに、イチイチ、

出るって?宣言いるの?

何が起こっているのかわからないまま、


「あっ、イクっっっ!!!」


という声とともに、


ジョボボボッボッ…


という水洗トイレの水面に

落ちる尿の音が響いていた。

そして、やっと、

ブーンという音が止まった。


そして、喘ぐ声も止まった。


そろそろオフィスに戻って、

資料作成の続きをしないと…

と、思って振り向くのと、

使用中だった個室の扉が開くのが、

ほぼ、同時だった。

そこにいたのは、

やはり、同期…。


バツの悪そうな同期の顔。

私はどんな顔をしていたのか、

わからないけど、


「ずっとそこに居たの?」


咎めるように同期が訊いた。

手には、ピンクの楕円形の物体。

そして、伸びる線とスイッチ。


戸惑うような気まずいような、

なんとも言えない顔の同期。


でも、嘘をついてもバレるだけ。

私は黙ってうなずいた。


「聞いていたの?」


軽く睨む視線。


「聞いていたというか、聞こえていたわ」


私が答えると、


「どっちでも一緒よ!もう、なんで、そこにいるのよ!」


怒りだした同期に、


「ご、ごめんなさい」


と、とっさに謝ったけど、


「このこと、誰かに話したら、あなたを殺して、わたしも死ぬから」


と、思い詰めた様子で同期が話した。

慌てて私は、


「大丈夫。誰にも話さないから」


と、だけ言って、トイレを後にした。

同期も遅れてオフィスに戻ってきたけど、

そそくさと鞄を持って、出て行った。
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