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キモおじ ~もう一つのエロ本を拾っただけなのに~
第1章 《崩壊した幻想》
『SATORU TAKIMOTO』
SATORU。さとる。
その文字を見た瞬間、優香の脳内でパズルのピースが最悪の形で組み合わさった。
(あの、おじさんが……聡さん……?)
優香はエントランスからふらりと外に出て、9階の部屋を見上げた。
9階。そこからは、公園のベンチが箱庭のように一望できる。
今まで感じていた「見られている気配」。的確すぎるタイミングでの指示。
偶然ではなかった。彼はずっと、あの高い場所から私を見下ろし、私の行動をすべて観察していたのだ。
そして――。
優香の喉が、ヒュッと鳴った。
今まで自分が顔に塗りたくり、匂いを嗅ぎ、口に含んで飲み込んでいたあの白い液体。
若い王子様の命の雫だと思い込んで、ありがたく摂取していたあの生臭い液体。
それは、あの小太りで頭の薄い、見ず知らずの気持ち悪いおじさんの股間から搾り出されたものだったのだ。
「うっ……!」
その事実を明確に脳が理解した瞬間、優香の胃袋が激しく痙攣した。
口の中に、あの強烈な生臭さが、幻覚として鮮明に蘇る。舌の上に、あのドロリとした粘り気が張り付いているような錯覚に襲われた。
「おぇっ……!」
優香は口元を両手で強く押さえ、マンションのエントランスから飛び出した。
走った。涙と鼻水を撒き散らしながら、ただひたすらに自宅を目指して走った。すれ違う人々の奇異の目など気にならなかった。ただ、一秒でも早く、自分の中から「彼」の痕跡を消し去りたかった。
SATORU。さとる。
その文字を見た瞬間、優香の脳内でパズルのピースが最悪の形で組み合わさった。
(あの、おじさんが……聡さん……?)
優香はエントランスからふらりと外に出て、9階の部屋を見上げた。
9階。そこからは、公園のベンチが箱庭のように一望できる。
今まで感じていた「見られている気配」。的確すぎるタイミングでの指示。
偶然ではなかった。彼はずっと、あの高い場所から私を見下ろし、私の行動をすべて観察していたのだ。
そして――。
優香の喉が、ヒュッと鳴った。
今まで自分が顔に塗りたくり、匂いを嗅ぎ、口に含んで飲み込んでいたあの白い液体。
若い王子様の命の雫だと思い込んで、ありがたく摂取していたあの生臭い液体。
それは、あの小太りで頭の薄い、見ず知らずの気持ち悪いおじさんの股間から搾り出されたものだったのだ。
「うっ……!」
その事実を明確に脳が理解した瞬間、優香の胃袋が激しく痙攣した。
口の中に、あの強烈な生臭さが、幻覚として鮮明に蘇る。舌の上に、あのドロリとした粘り気が張り付いているような錯覚に襲われた。
「おぇっ……!」
優香は口元を両手で強く押さえ、マンションのエントランスから飛び出した。
走った。涙と鼻水を撒き散らしながら、ただひたすらに自宅を目指して走った。すれ違う人々の奇異の目など気にならなかった。ただ、一秒でも早く、自分の中から「彼」の痕跡を消し去りたかった。

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