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キモおじ ~もう一つのエロ本を拾っただけなのに~
第3章 《終わりの始まり》
午後6時ちょうど。
優香は、905号室のドアの前に立っていた。
鉄の扉の向こうに、あの男がいる。優香のすべてを監視し、自分の液体を飲ませていた、あの薄毛で小太りのおじさんが。
深呼吸をし、震える手でインターホンを押した。
ピンポーン、という無機質な音が鳴る。
十秒ほどの沈黙の後、ガチャリと鍵が開く音がして、重いドアがゆっくりと開いた。
「いらっしゃい、優香ちゃん。卒業おめでとう」
隙間から顔を出したのは、やはりあの男――滝本聡だった。
薄くなった頭頂部。突き出た腹。そして、脂ぎった肌に浮かんだ、ねっとりとした歪な笑顔。
直接聞くその声は、手紙の文面から想像していた紳士的なものとは程遠く、優香の全身の毛穴が粟立つほどの不快感に満ちていた。
「さぁ、入って」
聡はドアを大きく開け、玄関の中へと優香を誘った。
部屋の奥から、むわっとした生温かい空気が流れ込んでくる。
その空気に混じって、優香の鼻腔を突いたのは――あの、強烈な生臭い匂いだった。
コンドームに詰められ、優香が顔に塗り、飲み込んでいた、あの男の液体の匂い。それが、この部屋全体に染み付いている。
「うっ……!」
優香は口元を覆い、反射的に後ずさりした。
無理だ。理屈ではない。細胞が、本能が、この男とこの空間を激しく拒絶している。
あんな写真、ばら撒かれたっていい。この男の部屋に入るくらいなら、人生がめちゃくちゃになった方がマシだ。
「ごめんなさいっ……!」
優香は踵を返し、廊下を走って逃げようとした。
「待ちなさい」
背後から、低く冷たい声が響いた。怒鳴り声ではない。だが、優香の足を縫い止めるには十分な威圧感があった。
「逃げるなら、止めないよ。でも、そうしたら君の高校生活の美しい思い出は、あの写真と一緒にご両親の元へ届くことになる」
「……っ」
「約束するよ、優香ちゃん。何もしない。ただ、君にどうしても『見せたいもの』があるんだ。それを見たら、写真も手紙も全部返してあげる。そのまま帰っていい」
優香は立ち止まった。
見たら、帰っていい。すべてを返してくれる。
その甘い言葉が、恐怖で麻痺した思考にすがりつくような希望を与えた。
「ほんと、ですか……? 見たら、帰して、くれるんですか……?」
「あぁ、約束する。だから、中へおいで」
優香は、905号室のドアの前に立っていた。
鉄の扉の向こうに、あの男がいる。優香のすべてを監視し、自分の液体を飲ませていた、あの薄毛で小太りのおじさんが。
深呼吸をし、震える手でインターホンを押した。
ピンポーン、という無機質な音が鳴る。
十秒ほどの沈黙の後、ガチャリと鍵が開く音がして、重いドアがゆっくりと開いた。
「いらっしゃい、優香ちゃん。卒業おめでとう」
隙間から顔を出したのは、やはりあの男――滝本聡だった。
薄くなった頭頂部。突き出た腹。そして、脂ぎった肌に浮かんだ、ねっとりとした歪な笑顔。
直接聞くその声は、手紙の文面から想像していた紳士的なものとは程遠く、優香の全身の毛穴が粟立つほどの不快感に満ちていた。
「さぁ、入って」
聡はドアを大きく開け、玄関の中へと優香を誘った。
部屋の奥から、むわっとした生温かい空気が流れ込んでくる。
その空気に混じって、優香の鼻腔を突いたのは――あの、強烈な生臭い匂いだった。
コンドームに詰められ、優香が顔に塗り、飲み込んでいた、あの男の液体の匂い。それが、この部屋全体に染み付いている。
「うっ……!」
優香は口元を覆い、反射的に後ずさりした。
無理だ。理屈ではない。細胞が、本能が、この男とこの空間を激しく拒絶している。
あんな写真、ばら撒かれたっていい。この男の部屋に入るくらいなら、人生がめちゃくちゃになった方がマシだ。
「ごめんなさいっ……!」
優香は踵を返し、廊下を走って逃げようとした。
「待ちなさい」
背後から、低く冷たい声が響いた。怒鳴り声ではない。だが、優香の足を縫い止めるには十分な威圧感があった。
「逃げるなら、止めないよ。でも、そうしたら君の高校生活の美しい思い出は、あの写真と一緒にご両親の元へ届くことになる」
「……っ」
「約束するよ、優香ちゃん。何もしない。ただ、君にどうしても『見せたいもの』があるんだ。それを見たら、写真も手紙も全部返してあげる。そのまま帰っていい」
優香は立ち止まった。
見たら、帰っていい。すべてを返してくれる。
その甘い言葉が、恐怖で麻痺した思考にすがりつくような希望を与えた。
「ほんと、ですか……? 見たら、帰して、くれるんですか……?」
「あぁ、約束する。だから、中へおいで」

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