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キモおじ ~もう一つのエロ本を拾っただけなのに~
第3章 《終わりの始まり》
──【2023年 3月10日】

雲一つない、見事な日本晴れだった。
星嶺女子高等学校の卒業式。本来なら、3年間の思い出を胸に、友人たちと涙を流して別れを惜しむ、人生で最も輝かしい1日になるはずだった。
しかし、優香の顔は青白く、まるでこれから処刑台にでも向かうかのように強張っていた。

「優香、卒業おめでとう。制服姿も見納めね」

玄関で靴を履く優香に、母である香代子が優しく微笑みかけた。
今年で40歳になる母は、年齢を感じさせない若々しさと美しさを保っている。自慢の母だった。今日のような日は、一緒に写真を撮りたかったが、優香にはそんな余裕は微塵もなかった。

「ありがとう、お母さん。……あのね、今日は少し帰りが遅くなるかも」
「打ち上げ?」
「うん。友達と思い出作りに、カラオケに行ってくるから」
「そう。気をつけてね。あまり遅くならないようにね」

いってらっしゃい、と手を振る母に背を向け、優香は逃げるように家を出た。
嘘をついた罪悪感よりも、これから待ち受ける運命への恐怖で、心臓が破裂しそうだった。

   ◇

午後5時半。
卒業式を終え、はしゃぐ友人たちと別れた優香は、冷たい風の吹く大通りを一人歩いていた。
足取りは鉛のように重い。向かっているのは、カラオケボックスなどではない。

(行きたくない……っ)

シルバー・レジデンス。
公園の隣にそびえ立つ、あのおぞましい男が住むマンションのエントランスに、優香は立っていた。
逃げ出したい。今すぐ踵を返して、家に帰りたい。
しかし、あの写真と手紙をばら撒かれるわけにはいかない。今日、1度だけ言うことを聞けば、すべてを返してくれる。そう信じるしかなかった。

優香は震える指で、オートロックのないエントランスを抜け、エレベーターのボタンを押した。
『9』のランプが点灯し、箱がゆっくりと上昇していく。胃の奥底がせり上がり、吐き気がこみ上げてくる。
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