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蝶恋乱舞~禁断の策略愛に溺れて
第5章 熱田での再会
忘れられやすい顔かたちをしているというだけで、才知はあるし武勇もある。ならば私の護衛に、と信長に頼んで帰蝶のそばに置くようになっていた。彼は町人だけでなく、馬借、山伏、さまざまに変装して自在に容姿を変え、帰蝶のお忍びを護衛した。
政綱を従えて、帰蝶は熱田神社の大鳥居をくぐった。くすの木の葉が風にそよぐ音に包まれ、ほっと息をつく。
熱田様のおられるこの場所はいつ来ても空気が美しい。体にまとわりついた醜い情念や、ほの暗い雑念、そんな陰影を、穢れのない光で照らして振り払ってくれる気がした。
───信長が負けてしまわないように、彼に力をお与えください
帰蝶は拝殿で手を合わせた。
帰り道、一陣の風が帰蝶の髪をさらった。ふわりと、体の重みを失わせるような風だった。
吹かれる、というよりも、抱かれるといった方がふさわしい、優しく大きな風だった。
───いつもの風とは、なにかが違う・・・

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