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蝶恋乱舞~禁断の策略愛に溺れて
第4章 素顔の信長
そう帰蝶が言った時、二人は初めて、まっすぐに向き合い、見つめ合った。

信長の探るような目が帰蝶を貫く。
その瞳は思いのほかまっすぐで、澄んだ輝きをはらんでいた。

信長は、奇異ないでたちで取り巻きとともに騒ぎ歩くため、城下では「織田家の嫡男はうつけ者」と評判だ。

だが実際は、城内に戻れば打って変わって、武芸の稽古にいそしんでいる。
弓を市川大介、鉄砲を橋本一巴、兵法を平田三位に就いて稽古し、休息を取る代わりに若い家臣たちを相手に相撲を取って体を鍛えた。

他人には、素顔を見せない男なのだ。


帰蝶は心に決めたように息を吸いこむと、唇を開いた。

「殿、父上様を喪って悲しいのなら、妻である私にだけは、悲しいと申してくだされ」
「黙れ」

諭す若妻の言葉を被せるやいなや、信長は帰蝶にとびかかった。

そのまま帰蝶を押し倒し、強く抱きすくめた。
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