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御朱印女と怪談男〜にさつめっ☆〜
第13章 間章:桜の時
☆☆☆
「ゆらさん?」

名前を呼ばれて、ハッと我に返った。
隣りにいた素直さんが、私の顔を覗き込むようにする。

「あの樹が、どうかしたのか?」

今日は毎週恒例みたいになっている金曜日デート・・・そして、そのまま今日は彼のお家にお泊りする事になっていた。

そんな時、ふと立ち寄った公園で、突然立ち止まり、花も何も咲いていない樹の方を見てボケっとしたものだから、彼が心配するのも無理はないだろう。

思い出してしまっていたのだ。
去年のちょうど今頃、あの樹を見上げて考えていたことを。

「あ、うん・・・なんでもない」
「ほんとに?」

じーっと彼が見てくる。
近い、近い近い!

ちょっと恥ずかしくなって、慌てて一歩距離を取ってしまう。

「うん・・・いや、あの樹さ、桜で、早く咲くんだよなって・・・思って」
「ああ、早咲きってやつ?そろそろ咲くのかな?」

近くに寄ればきっと蕾がほころびかけているのが見えるかもしれない。でも、まだ咲いてもいない樹の近くに彼を引っ張っていくほどでもない。

その代わり・・・

「え・・・ゆらさん?」

すっと彼の腕にしがみついてみた。
2月の最後の週。まだまだ、寒い。

でも、こうしていると、本当に、温かい。
あったかくて、あったかすぎて、涙が出そうになる。
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