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One Night LOVE
第2章 微糖
彼は小さい子供のように胸に顔を埋めてきた。
その姿を見ると、初めて会った高校生の時は思い出す。
あの時、こうやって抱きしめてあげられたら……
彼は母親からの愛情が欠けていたから、母親と年齢が変わらない私に愛情を求めているのだろう。
でも、私が彼にしてあげられるのはここまで。
だって、彼は若いんだから。


「待って」


彼がもう一度唇を重ねようとしてきたため、
私は人差し指を彼の唇に触れて制止する。



「これ以上はダメ」
「どうして?」
「いくつ離れていると思う?君は若い。周りの女の子を見てごらん。
私はもう子供も産めなくなったんだよ」
「そんなの関係ない!それに……俺は子供は欲しくない。
俺は子供には両親の愛情をたくさん受けて育ってほしい。
俺にはそれができないから」
「どういうこと……?」


彼が、シャツのボタンを外して、私の前でそっと脱ぎだした。
彼の心臓の付近に大きな傷跡がある。


「この傷は?」
「子供の頃から体に違和感はあったけど、病院に連れていってもらえなくて。
栄養失調もあったから……
社会人になったときは働きまくって気付いたときにはだいぶ進行していて。
来月、また手術なんだ。もう……会えないかもしれない」
「嘘……」


何で彼だけに、こんな試練を与えるの?


彼のこと、よくは知らない。
だけど、あの数日間寒空の下でメロンパンをかじっていた姿と
この大きな傷跡を見たら、涙が止まらなかった。


「泣かないでよ」
「もっと早く声をかけていたら……こんなことには」
「そうじゃない。そうじゃないんだ。
俺、本当は病気がわかったとき、1度目の手術するのやめようと思ってた。
もう十分頑張ったからって。
でも……生きる希望をくれたあなたに
誰かと一緒に食べるご飯の味や思いやりや
包み込んでくれる優しさや甘くて苦いキスを教えてくれてありがとうって
伝えたいって思ったから手術したんだ。
だけど、今度は……ダメかもしれないから、怖くなって」


私は手術をしたことはないけど
このまま目を覚ますことはないかもって思ったら
怖くて仕方ないと思う。
目の前の彼の手も震えてる……。



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