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One Night LOVE
第2章 微糖
【10年前】


「は~寒い!今日こそは家で飲もうかな」


家で飲んだ方がいいのに、私は公園のベンチで飲むのが当時好きだった。
なぜなら、家で飲んだら、そのままダラダラしてしまうから。
もうすぐクリスマスというのもあって
カップルもちらほらいるけど、私は気にしない。


「1缶だけ。今日も嫌味に耐えた。絶対見返してやる!」


独り言を言いながら、缶ビールを開けた。
ありえない冷たいけど目が覚める。


「は~寒い……全部寒い」


そう、身も心も全部寒い。
明日がきても、また同じ1日。
楽しみもなく、毎日辛い日々。
キンキンに冷えたビールを冬の外で飲むなんて……余計に寂しいだけ。


「ん?」


お向かいにもベンチがあって、高校生ぐらいの青年がメロンパンを食べている。
成長期だからお腹でも空いたのだろうか。
最初はそう思っていたが、毎日毎日彼はメロンパン。


「成長期なのに……」


その時に気づいた。
私は夜食べていないってことを。
成長期はとうの昔に終わっているが、当時、丸一日あまり食べていなかったのだ。
彼の食事を見て、これはよくないと思い、
私はコンビニでおでんを買っていつものようにベンチに座った。
寒いからこそ、おでんは身に染みておいしい。
いつも酔っ払いの女が
ご飯をたべているのが珍しかったのか、彼がジッと見つめてくる。


「たくさん買ったから食べない?」


彼は首を横に振った。
見ず知らずのおばさんにおでんを勧められても怖いか……そう思っていたら。
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