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One Night LOVE
第2章 微糖
「……どうかした?」
「あ、いや……微糖って珍しいなって。こういう時にさ、おとなだからって、ブラック飲むんでしょって渡されることが多いから。本当は微糖が好きなんだよね」


ブラックも嫌いじゃない。
ただ、今日みたいに疲れた日は、ちょっと甘い微糖が飲みたくなる。
微糖のコーヒーは私にとってご褒美みたいなものなのだ。


「あれ?でも、あなたはブラックを飲むのね」
「ブラックが好きだから」


この時はまだ、なぜ私に微糖を渡されたのかは分かってなかった。
彼は、私が微糖を好きなことを知っていたのだ。


「ところで、あなたはこんな雨のなか仕事?」
「残業ですよ。これでも会社経営してるんで」
「あなたもお疲れ様」


若くで成功して、経営者で高級車。
一見煌びやかな人生に思えるけど、きっとたくさん苦労しているんだろうな。
そう思ったら、お疲れ様と自然に言葉がでてきた。


「ふふ……」
「……何?」
「雨が降るといつも思い出すのよ。公園で会っていたあの子を」
「ふ~ん……聞かせてよ」
「いや、長くなるし」
「いいじゃん別に。まだまだ雨はやまないよ」


まぁ、ボーっとしていても時間はただ流れるだけだから。
そう思って、話すことにした。


「39の時だったな。あの頃、仕事もプライベートもうまくいかなくて。
公園のベンチでよく飲んでてね。飲むっていっても1本だけ。
飲んだら、また家に帰って勉強の日々……よく頑張って自分でも思うw」




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