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イケナイアソビ。
第8章 恋して! ウェアウルフ
(十)
土曜のその日から、宝は丞に抱かれた事実をひた隠し、気丈に振る舞うことに決めた。
昨日から延々と泣き続けているおかげで目は赤く腫れている。二十五にもなったその年で大人げなく泣きじゃくる自分はまるで幼子のようだ。こういう子供じみたところが丞に嫌われる要因なのだろう。
それでも失恋の涙は涸れることなく流れ続け、赤い唇からは堰を切ったかのよう嗚咽を漏らす。
おかげで喉がひりつく。声もろくに出やしない。
幸い、日曜の今日もオフィスは休みに設定されている。そのおかげで今日も延々と泣き続けていられる。これは不幸中の幸いかもしれない。
宝はベッドに突っ伏し、六畳間の寝室で蹲っていると、ブザーが鳴った。
おそらく阿佐見に違いない。昨日の早朝も斎はここを訪ねてきた。なにせ彼らは自分とは違う種族、ウェアウルフだ。宝が本当に他言しないかどうかの再確認にやって来たのだろう。
宝は涙で濡れている頬を乱暴に腕で拭い去ると、阿佐見がいるであろう玄関へと急いだ。
足下がおぼつかない。丞に抱かれた身体はまだ熱を持ち、たくましい肉棒に何度も貫かれた後孔は痛みが残っている。
それでもこの痛みも気だるさも、いつかは消えていくのだろう。
けれど物理的な痛みは消えたとしても彼への想いは消える気がしない。
それだけ、宝にとって丞の存在が大きくなりすぎているのだ。
「はい」
ややあって、宝はようやく玄関に到着した。ドアとを繋げている鎖を外し、ドアを押す。
訪問者を見上げたその時、宝の心臓が本の一瞬鼓動を止めた。
(なんでっ!?)
そこにいたのは阿佐見でも斎でもなく、宝が想い続けていた彼――椎名 丞だったからだ。
「ーーっつ!!」
もしかすると、彼は自分を抱いたことを知ったのかもしれない。なにせ自分は忠告を受けた阿佐見と斎に傷ついた丞を懐抱したいと自ら志願したのだ。彼らからの伝手で話を聞いている可能性だってある。
しかし、である。事実を自分の口から告げなければ、その真意は闇の奥に眠る。
誰が訪問したのかを覗き穴で確認しなかった自分が悪い。
宝は苦虫を噛むようにして、赤い唇を噛みしめた。

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