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イケナイアソビ。
第8章 恋して! ウェアウルフ
この会社のプロジェクトにしたってそうだ。
丞自ら志願して人間から遠ざかり、これでやっと人里離れた山奥で平穏に仕事ができると安心していたのに、まさか彼がこの辺境の地に来るとは思わなかった。
丞は自分がウェアウルフという種族だったことを恥じていた。
ーーいや、違う。宝と出逢ってから、自分が人間ではなくウェアウルフという種族を忌み嫌うようになったのだ。
丞は枇々木 宝という人間を心から愛していた。
可愛らしい二重の大きな目に赤い唇。まるで陶器のように透ける白い柔肌は繊細で、保護欲をそそられる。
それは彼をひと目見たその瞬間、丞の中で眠っていた母性が呼び覚まされるほどに……。
人種を越えた愛はけっして報われることはない。母も祖母も。そして曾祖母も、同じ種族同士で結ばれた。況してや自分は宝と同じ性別だ。両想いになることは皆無に等しい。判ってはいるが、それをあらためて思い知らされるとやはり、胸は張り裂けそうに痛む。
「言っておくけど、でかい図体した男が頭を抱えて恋に悩んでいても気持ち悪ぃだけだぜ」
「黙れ」
何にせよ、今は胸の痛みで動けそうにない。
ーー明日は日曜日。オフィスは休みだが、しかしいずれにせよ、いつまでもグズグズするのは身を滅ぼす。
宝に真実を訊き出し、対処せねばなるまい。
もう二度と顔も見たくない。彼の口からそう言われないことを願い、彼は大きなため息をつくと、安らぎを求めてふたたびベッドに潜り込んだ。

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