この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
イケナイアソビ。
第8章 恋して! ウェアウルフ
(九)
陽が昇っている。
椎名 丞が目覚めたのは午前七時少し前だった。
仕事がある普段なら寝坊だが、今日は幸い土曜日で、明日日曜日と共に世間一般と合わせて仕事は休みに設定してある。
ベッドから起き上がれば、見えるのは腕に巻かれた包帯だ。
「包帯?」
丞はひとり、だだっ広い殺風景なその部屋で呟いた。
たしか自分は昨日、満月の日で魔力が格段に上がっていた。魔力を抑えるため、ほぼ本能的に体力を削り、その結果、高熱を出した気がする。
仕事は大事を取って半休にして、帰宅したところまでは覚えている。
しかし、自分はどこで怪我をしたのだろう。
しかも、なぜ自分はこれを巻いているのだろう。ウェアウルフは治癒能力に長けている。こんなものは不要だ。
「おっはよう、リーダー。気分はどう?」
「別に変わりない。いつも通りだ」
自分の屋敷なのに我が物顔で中に入ってきたのは、斎 智也。彼は阿佐見 泪と同様に丞と同じウェアウルフ一族だ。人間とは違い、自分たちウェアウルフは長寿の生き物で、年を取るスピードもかなり遅い。彼らは数百年にもわたり、行動を共にしている仲間である。
いつもの如くお気楽な智也は相変わらず自分とはまったく違う。
ウェアウルフだとということを人間に悟られないよう、神経を削って生きている丞とは違い、開けっ広げな性格の彼はとことんまで正反対だ。
だから彼は余計な詮索をされることなく、誰とでもすぐに仲良くなれる。
そして、殊更、枇々木 宝ともーー。
自分といる時は常に俯き、顔色を窺う宝のことが脳裏に過ぎり、丞は小さく頭を振った。
せっかく頭から追い出した宝のことを、しかし智也の言葉ですぐに引き戻されてしまった。
「それで? どうだったよ、宝ちゃんのお味は」
「はあ?」
なぜ、彼の口から宝の名前が出てくるのか。
眉根をひそめて智也を見やれば、彼はつり上がった猫目を瞬きして見せた。
「いや、だってお前。昨夜から夜通し看病してくれてたんだろう? 宝ちゃんを抱いたんじゃねぇの?」

作品検索
しおりをはさむ
姉妹サイトリンク 開く


