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イケナイアソビ。
第9章 僕はキュートな吸血鬼
(八)
翌朝、目覚めると昨日の気分の悪さが嘘のように、体調はいつも通りだった。
「…………」
昨日の目眩はいったい何だったんだろう。
もしかして、寝る前に優と会ったから気持ちがシンクロしたのかな。
吸血鬼って人間とは違って空気や意識をより敏感に感じることができるから。
だからかもしれない。
「よしっ! 今日もいい朝だ」
俺はう~んと背伸びして、気を取り直して勢いよくベッドから起き上がった。
優は大丈夫かな?
昨日の夜はあんなに辛そうだったんだ。今日はきっと大事を取って学校を休むに違いない。
優がいない学校はちょっぴり寂しいけれど仕方ない。
優の身体が大切だもの。
今日は学校帰りに寄ってみようかな。
昨日、夜にお邪魔した時は、優は夢の中だと思い込んでいたみたいだし。
現実の俺だって、優のことを心配しているんだって伝えたいもん。
そのためには、きちんと食事をして優に噛みつかないようにしなきゃね!
「せ~んぱい、誰もいないところで、ふたりきりでお話ししたいなっ」
その日、やっぱり優は学校を休んでいた。
好きな人と会えないのは悲しいけれど、放課後には優の家に行くつもり。
そのためにはきちんと腹ごしらえをしておかなきゃねっ。
今は一時を回った昼休憩。
俺はいつものように、三年生の教室へ向かい、誘惑する。
今日の相手はやっぱり運動部のエース。
背が高くて、日に焼けた肌をした健康的な人で、やっぱり生徒に格好いいと人気がある。
あ~っと、名前は誰だったかなあ……忘れた。
まあ、俺にとってはただの食事だし、知る必要もないんだけど。
「嬉しいな、まさかこの学校のアイドル的存在の可愛くんに呼び出されるなんて」
「本当? ずっとずっとお話ししたいなって思っていたの」
目薬で潤ませた目での上目遣いは効果的だ。
先輩は下心見え見えの表情を浮かべ、俺の腰に手を当てて、人気のない裏庭へと先導した。
「お話しするだけじゃなくって、もっと近づいてもいいかな?」
針葉樹が生えている視界の悪いそこで、他の先輩たちと同じようなセリフを言う先輩。

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