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イケナイアソビ。
第9章 僕はキュートな吸血鬼
……嬉しい。
トクン、トクン。
心臓の鼓動が、さっきよりもずっと速くなる。
「優、辛い? 飲み水とかいる? 誰か呼んでこようか?」
「平気、きっとすぐに治まるから……」
「でもっ!」
たくさん汗を掻いていて、すごく辛そうだ。
「だったら。もう少し、このまま……こうしていてもらってもいい?」
「うん……」
うなずくと、優はゆっくり深呼吸した。
少しだけ、落ち着いたのかな?
「ねぇ、優。どうして急に保健体育の授業を受けるようになったの?」
今までずっと見学していたのに、無理しすぎなんだ。
何かあったのなら僕に相談してほしい。
「一週間前……先輩ふたりに呼び出された時ーー」
優の言葉に、背中が冷たくなった。
そうだ。
だってあの時から優の行動がおかしくなった。
無理をするようになったんだ。
「先輩たちに、俺は愛良の友達に相応しくないと言われたんだ」
「なっ!」
先輩たち、よくもぬけぬけとそんな勝手なことを言ってくれたなっ!!
その一件はもう終わったことだけど無性に腹が立ってくる。
「俺は愛良の友達なのに、俺がこんな貧弱じゃ、先輩たちはまた俺を呼び出して、また愛良に助けてもらうことになるかもしれない。そうなったら愛良は……俺が傷つけられ続けたら、きっといつかは誰にも迷惑をかけないようにって、みんなから離れようと思うでしょう? そうなったら、愛良はひとりぼっちになってしまう。……孤独は、悲しい……」
そうか。だから優は体を鍛えようと無理して保健体育に出席したんだ。
すべては、俺のために……。
「愛良とは、ずっと仲のいい友達でいたい……から……」
優は目を閉ざし、夢うつつになりながらも話してくれた。
意識はもうほとんど夢の中だ。
穏やかになった優の寝息が、夜の静寂に溶け込んでいく……。
優は誰よりも俺を判ってくれている。
そう実感するだけで、心があたたかなもので満たされていく……。
優、大好きだよ?
だから早く元気になって……。
僕は優のおでこに口づけを落とし、蝙蝠の姿になると入ってきた小窓を抜けた。

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