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イケナイアソビ。
第9章 僕はキュートな吸血鬼
(七)
時刻は深夜十二時を回っている。
「よしっ!」
俺は手のひらサイズくらいの蝙蝠に変身すると、部屋の窓から夜の闇に向かって飛んだ。
向かう先は大好きな優の家。
本当は、学校が終わった後に真っ先にお見舞いに行きたかった。
だけど優は倒れたばかりだし、ご家族の方に余計な気を遣わせたくない。だから僕は今の時間まで優に会うのを我慢して、今ようやく彼の家に向かう。
優の家までは蝙蝠の姿で飛ぶと約十分程度。
見えてくるのは、グレーと黒をベースにしたちょっとシックな二階建ての一軒家。
そこの二階が優の部屋だ。
……よかった、小窓が開いている。
俺は蝙蝠の小さな身体でするりと小窓を抜け、優の部屋に降りた。
無事、優の部屋に到着した僕は蝙蝠の変身を解く。
優の部屋は相変わらずだ。
茶色のカーテンとカーペット。それに机。
一ヶ月ぶりに訪れた優の部屋は、やっぱり綺麗に整頓されている。
翼を怪我して初めてこの部屋に来た時と同じだ。
優に恋心を抱くきっかけになった夜のことを思い出していると、静かな沈黙を破る苦しげな声が聞こえ、我に返った。
俺は慌てて窓辺のシングルベッドに駆け寄ると、そこには玉のような汗を浮かべた優がいた。
「優、優!!」
「愛、良……?」
苦しそうに呻る優に呼びかけると、長い睫毛が揺れ、茶色く澄んだ瞳が現れる。
「優、苦しいの? どうしよう……」
何か汗を拭くものはないかな。
周りを見回すと枕のすぐ隣にお水が入った容器とハンドタオルが置いてあった。
水を絞って優の顔に浮かび上がってくる汗を拭いてやる。タオルはすぐに温くなる。
俺がしていることってあまり意味がないかもしれないけれど、こんなことでも優が少しだけでも楽になればいいんだけどーー……。
「……どうして君がここに?」
無数に浮かび上がってくる優の汗をタオルに染みこませていっていると、優の手が僕の方へと伸びて、頬に触れた。
「きっと夢だね。だとしたら、とても良い夢だ」
ふふって笑う優の吐息が顔に触れる。
「ーーっつ!」
トクン。
たったそれだけで、俺の身体が熱を持つ。
もっと近づきたいって思う。
僕のこと、良い夢だって思ってくれるの?
面倒な奴だって思われてない?

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