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イケナイアソビ。
第9章 僕はキュートな吸血鬼
こういう時に役立つのが吸血鬼特有の優れた視力と嗅覚だ。
今はそれが十分ありがたい。
いた。
見つけた。
ちょうど木が密集しているそこに、優の後ろ姿を発見した。
優は案の定、二人の先輩に羽交い締めにされていた。この二人には見覚えがある。
俺が食事をした人間だ。
名前は……忘れたけれど、たしか二人ともバスケ部のエースで、ルックスもモデル並みだからこの学校でも他校でもけっこう人気がある。
まあ、俺から見ればやっぱり優が一番格好いいと思うんだけどね。
「優っ! 先輩、何してるんですかっ!!」
優に近づけば、唇の端が切れていて、制服は砂埃まみれになっている。
優の呼吸が荒い。
「こいつに制裁を与えていたんだ。いくら友達でも愛良ちゃんが好きなのは俺だっていうことを知らしめるためにね」
「違うな、俺だよ」
先輩はそう言うと、もうひとりが否定した。
「じゃあ訊くが、愛良ちゃんに昼休み呼び出された回数はどれくらいだよ? 俺はもう三〇回を超えるぜ?」
「俺だって三〇回くらいだよ!」
二人ともが譲らない。
……まぁ、たしかに?
呼び出した回数はそれくらいかもしれない。
だけどそこに恋慕の気持ちはなく、ただ健康的なふたりの血液が美味しそうだったからにすぎない。
俺が好きな男性は、優ひとりだけだ。
「優、大丈夫?」
言い争っているふたりを余所に、俺はうずくまっている優に駆け寄り、肩を起こした。
息も荒いしすごく辛そうだ。
ああ……。
また、優に迷惑をかけてしまった。
「愛良……。うん平気、ごめんね。友達を庇うことさえもできなくて……」
『友達』
優にとって、俺はまだその程度でしかない。
判ってはいるけれど、胸がズキズキ痛む。
でも!
今はそれどころじゃない。
この自信過剰な三年生をなんとかしなきゃ。このままふたりを放って置けば、きっとまた優に危害が及ぶ。
ーーかといって、俺には先輩たちの血液が必要だ。
食事がなければまともに立っていられない。
だったらここは、先輩たちに大人しく引き下がってもらうのが得策だ。

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