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イケナイアソビ。
第9章 僕はキュートな吸血鬼
(三)
「大丈夫よ、こめかみが少し切れただけね。すぐ治るわ」
先生は、眼鏡越しから優と俺の顔を交互に見て微笑んだ。
白衣を着たこの先生は、聖亜男子校唯一の女性教員だ。
細身で身長も俺と同じくらい。
睫毛が長くて目はちょっぴり鋭い印象の美人な先生だ。
彼女はこの学校のマドンナ的存在でもある。
だからだろうか、彼女を狙っている男子生徒は多い。
それでも先生の身に何も無いのは、実は部活の担当顧問が柔道という、とても強い女性だったりするからだ。
どうにか保健室に着いた俺は、優が俺を庇って怪我をした経緯を泣きながら先生に話すものの、だけどやっぱりパニックになっていて、上手く説明しきれなかった。
結局、怪我をしている優本人の口から事の成り行きを先生に説明したんだ。
あ~あ。
俺って相当な役立たずだ。自己嫌悪に襲われる。
だってね? 先生は大丈夫だと言うけれど、優の左のこめかみには白いガーゼと大きな絆創膏が貼られている。優は特にどうってことなさそうだけど、やっぱり痛いと思うんだ。
「……痛い、よね?」
大好きな人が痛いのはイヤだ。
できることならその痛みを代わってあげたい。もともとは俺がしでかしたことだ。
優が怪我をするのは間違っている。
「ごめんね、俺がこんなじゃなかったら心配をかけずに愛良を助けられたのに……」
「いいよ、そんなの気にしなくて!! 優はこのままで十分だから。俺の方こそごめんなさい。優がこうなったのはそもそも俺が原因だから……」
「愛良の所為じゃないよ。これは俺の落ち度だ。日頃から鍛えていないからこうなったんだよ。ありがとう、心配してくれて」
優は目を細め、俺に微笑みかけてくれる。
ああ、俺はその笑顔に胸が破裂しそうです。
トクン、トクンと胸が跳ねる。
「フフ、仲がいいのね、貴方たちは。恋人同士……なのかしら? 可愛くんはこの学校でも生徒たちや先生方にさえ人気があるものね」
「うぇっ? 恋?」
ドッキン!
先生の突然の発言で動揺してしまう。
先生は突然なんてことを言うんだろう。
たしかにここは男子校で、同性の恋人ができやすいけれど、でも学校の先生がそれを認めてもいいの?

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