この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
イケナイアソビ。
第8章 恋して! ウェアウルフ
「嘘だ! だって俺といる時、椎名さんはいつも不機嫌で……」
そうだ。丞は自分がいる前ではにこりとも笑わない。ただ煩わしそうに眉を潜め、深い皺を作っていた。
だから彼は自分を嫌っている。自分を好きだなんて嘘に決まっている。
「それは、君が!! 眩しいほどの可愛い笑顔で田牧さんと笑い合っていたから……」
「えっ?」
思ってもみなかった言葉に、宝はもう耳を疑うしかない。
宝は口をあんぐりと開けたまま、動けない。
放心状態になってしまう。
けれどそれは仕方のないこと。だってそれだけ、丞という存在が宝の胸の中を丞が占めているのだから……。
「……昨夜、君を抱いた夢を見た。もし、それが本当だったならどんなに嬉しいと思ったか……。しかしその反面、実際は無理矢理君を抱いてしまったかもしれないと思ったら、どうにも収まりが付かなくて……」
彼は本当に、椎名 丞だろうか。
常に自身に満ち溢れ、会社の重役たちからも指示されている丞。
けれど今、宝の前にいるのは、声を震わせ、今にも泣き出してしまいそうなほど、他人から拒絶されることを恐れる弱々しい姿をした彼だ。
「椎名さんは、俺が好き?」
ぽつり、宝が呟けばーー。
「ああ」
丞は大きく頷いた。
「ーーっつ!!」
(これは夢? 信じられない……)
「俺は……俺も……好き。椎名さんが、好きです……」
宝が腕を伸ばし、広いその背にしがみつけばーー丞は、「両想いだったんだな」と、呟いた。
(ああ、椎名さん……)
湧き上がるこの気持ちを何と言い現せばいいのだろう。
やがて宝の胸が幸福感でいっぱいになると、とうとう何も言えなくなってしまった。
「君が好きなんだ。どうか頼むから、俺の傍にいてくれないか?」
「……っふぇっ……」
それはまるで、愛を乞うているかのようだ。
宝の方こそ、丞の傍にいたいと、どんなに願ったことか。
しかしこれ以上は喜びの涙が込み上げて喉に詰まった。
何も言えなくなってしまった。
だから代わりにたくましいその腕の中で何度も頷くのだった。

作品検索
しおりをはさむ
姉妹サイトリンク 開く


