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イケナイアソビ。
第8章 恋して! ウェアウルフ
(十二)
斎は、宝が閉めようとするドアに足を引っかけて阻止すると、ドアノブを握っている腕を掴み上げた。
「いやっ、なにっ?」
突然横から現れた斎に驚く宝は反応が遅れてしまう。
その隙を狙い、斎はもう片方の腕も伸ばした。乱暴にシャツのボタンを引き千切る。
そうすると見えるのは、日焼け知らずの貧弱な身体に散りばめられた鮮やかな赤い斑点だ。
これは昨夜、丞が宝を抱いた時に付けたキスマークに他ならない。
「丞。お前なら、この痣を誰が付けたのかわかるよな?」
斎は、もう片方の腕をも掴むと、愛撫の痕を見せつけた。
丞から、息を飲む音が聞こえる。
「いやっ! 離してっ!!」
ーー知られた。
知られてしまった。
丞には自分が抱かれた事実を隠し通すと決めたのに……。
丞は自分を嫌っている。
その自分を抱いた事実を知られたことに慌てた。
身を捩って斎から離れようとするものの、彼は怪力で、宝の抵抗も無駄に終わる。
丞に抱かれたのも覚悟してのことだ。だから彼が自分を責める必要はない。
責任や同情なんてものも感じてほしくなかった。
だって彼が宝を哀れに思えば、自分は惨めになるだけだったから……。
丞への恋心も否定される気がしたから、だから抱かれた事実を口にしなかった。
それなのにーー。
斎は情事の痕跡を丞に見せつける。
丞は宝を抱いたという事実が信じられないのだろう。目を見開き、驚いている。
それはそうだ。だって自分と彼は同性で、性的欲望の対象ではない筈だから……。
けれども宝を抱いたと知った彼は、責任を果たそうとするだろう。
たとえ、相手が男で、況してや嫌悪感を抱いている相手であってもーー。
「やめてっ! いやだっ!!」
真実を明かした斎から逃げようとしても何も変わらない。事実はもう、知られてしまった。
それでも宝はなんとかこの場から逃げられるよう願った。

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