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イケナイアソビ。
第8章 恋して! ウェアウルフ
「いや、そのことは別にいいんだ。それで懐抱してくれた時のことなんだが……」
ああ、そう来たか。
宝の唇が引き結ばれる。
満月の日は魔力が高まる。そして月が頭上を照らすその頃、自分は丞の側にいた。
彼は恐らく、自分が宝に何かよくないことをしでかしたと思っているのだろう。
現に、宝の目は泣き腫らし、声もしゃがれている。これは隠しようのない事実だ。
相手がどんなに嫌いな人間でも、それでも真摯に向かい合う。
丞のそういうところも好きになった理由ではあるが、今の宝にとって、彼の姿勢がどれほど厄介なものかを彼は知らない。
どうか自分の事は放って置いてほしい。
そしてこのまま、何もなかったことにして、また思う存分泣かせてほしい。
「椎名さんには何もされていませんよ」
事実を告げても丞は自分を好きになってくれないと知っている。だから宝は、『何も無かった』と嘘をついた。
「それよりも身体の傷は平気ですか?」
宝が訊ねればーー。
「……ああ、俺は……」
丞が答える。
「よかった。俺の所為で怪我をさせてしまったから、どうしようかと思っていたんです。安心しました」
じゃあこれで。とそう言って、宝は玄関のドアを閉めようと動いた。
丞は宝の拒絶を感じたのか、それとも嫌いな自分とこれ以上何も話すことがないと思ったのかもしれない。玄関前まで後退った。
ーーこれで彼との接点は仕事仲間以外に何も無い。
宝が俯き、端整な顔立ちをした彼から視線を外した、その時だ。
「ちっともよくねぇよ」
いったいどこからやって来たのか。ふいに斎が顔を出した。

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