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僕の愛する未亡人
第19章 社内秘 飯塚冴子②
翌日。

「――げ。マジ?」

高木知親は、店舗に立っていた頃もそうだったが、本社に来てからはなおさら、遠目にもすぐ分かる存在感がある。
ジャケットは身体に合っていて、Vネックのシャツの色味や素材にも無駄がない。
少し癖のある髪は、軽くパーマをかけているのだろう。
無造作に見えて、手入れが行き届いている。その感じがどこか美容師を思わせて、初対面の頃はよく職業を間違われていた。

顔立ちは派手ではない。ただ、視線がまっすぐで、仕事の話になると一切ぶれない目をしている。
冴子は、その目を何度も見てきた。現場で判断を下すときも、人事に異を唱えたあのときも、同じ目だった。

厳しい男だ。
けれどそれは、感情をぶつける厳しさではない。
冴子が今も彼に頭が上がらないのは、その静かな厳しさが、いつも筋を通していたからだった。

「あいつ、無断欠勤なんだよ……そういうことか」

「そういうことでしょうねえ……」

朝礼が終わったあと、冴子は廊下に知親を呼び出し、昨日の「報告」を行なったのだった。

「お前は、大丈夫なの……」

「下着とシャツ、捨てたわよ。気持ち悪い」

下着とシャツを捨てるほどの行為が自分の部下になされたということ。その事実にぞっとして、思わず知親は口元を押さえた。

「うちの後輩があたしに質問あるって、倉庫に来たの。そこで終わった。とりあえず大丈夫」

「男女二人で、もう作業とかやらせらんねーな。本当にごめん。俺が考え無しだった」

「本当よ、あたしに仕事押し付けるから」

ちょうどその時、冴子を見つめる視線を感じる。
冴子はそちら側に視線を送った。

「佐藤くん」

ドアの入口から顔だけ覗かせた彼は、呼びかけに応じて、長めの襟足に指を巻き付けながらとぼとぼとやってくる。

「昨日……やっぱり、その、何か……あったんですよね」

冴子に対する問いかけに、知親は昨日の後輩なのだと気づく。
昨日、冴子は理央の仕事も翌日に回させて、一緒に退勤したのだった。

「いいえ、佐藤くんのおかげで助かったよ、ヤラれかけたの」

知親にはそんな風に説明しなかった。
何も隠さない冴子の様子に、ぴくっと知親の目尻が動く。
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