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僕の愛する未亡人
第19章 社内秘 飯塚冴子②
「飯塚さんは、高木さんと…同期なんですよね」
「ええ、ずっとお世話になっています。彼には頭が上がらないですね」
服を取り出そうと身をかがめた拍子に、黒い髪の毛がさらりと落ちる。
耳に、髪をかけるその指先ですら艶めいて見える。
どきん、どきんと冬馬の心臓がうるさくなっていく。
「あ……これ、上の方。面倒くさいな」
冴子が脚立に乗り、ケースに服をしまい込む。
彼女の臀部が、ストッキングに包まれた脚が、妙に艶かしい。それが否応なしに視界に入る。
冴子は――元々実店舗にいたのだと噂で聞き及んでいた。
しかも、セクハラをしたのだと。
彼女の容姿からすれば、男はむしろ喜ぶのではないか――そんな下世話な妄想を掻き立てるほどに、彼女は美しかった。
どんな性的なことを言ったのか、どんな行為をしたのか。
そんなことを考えていると、脚立から降りる冴子が体勢を崩す。
冬馬は思わず、いや、半ば意図的に、彼女の体を支えた。
「……ありがとうございます」
冴子はそう言いながら、わずかに身を引いた。
その仕草ははっきりと拒むほど強くはないが、歓迎していないことだけは確かだった。
それでも、冬馬の手はすぐには離れなかった。支えるという名目のまま、彼女の体温を確かめるように、ほんの一瞬、指先に力が残る。
冴子は一度だけ冬馬を見上げ、すっと視線を外す。
その無言の間に、冬馬はようやく我に返り、遅れて手を離した。
「早く終わらせちゃいましょう。すみません」
「いえ、本当は僕がやらないといけない作業で。ただ、他のことあって……」
「タカギが自分でやればいいのに。何であたしにやらせるんだか」
冴子は先のことなど全く気にも留めていないようで、服に手を伸ばした。
「高木さんも、飯塚さんも……前は店舗にいらしたんでしたっけ…」
この気まずい空気をどうにかしたくて、冬馬はそんな風に尋ねる。
だが、冴子からすれば、その話題には当然触れられたくない。
それに、今年度入社したばかりの男が、おそらく自分の異動の理由を、噂で聞き及んでいること。その事実自体が不快だった。
「もう十年も前の話ですけどね」
本当は逆だった。男がストーカーと化してしまい、迷惑を被ったのは冴子だった。
ただその男が、女性のエリアマネージャーのお気に入りだった――それで反感を買った。
「ええ、ずっとお世話になっています。彼には頭が上がらないですね」
服を取り出そうと身をかがめた拍子に、黒い髪の毛がさらりと落ちる。
耳に、髪をかけるその指先ですら艶めいて見える。
どきん、どきんと冬馬の心臓がうるさくなっていく。
「あ……これ、上の方。面倒くさいな」
冴子が脚立に乗り、ケースに服をしまい込む。
彼女の臀部が、ストッキングに包まれた脚が、妙に艶かしい。それが否応なしに視界に入る。
冴子は――元々実店舗にいたのだと噂で聞き及んでいた。
しかも、セクハラをしたのだと。
彼女の容姿からすれば、男はむしろ喜ぶのではないか――そんな下世話な妄想を掻き立てるほどに、彼女は美しかった。
どんな性的なことを言ったのか、どんな行為をしたのか。
そんなことを考えていると、脚立から降りる冴子が体勢を崩す。
冬馬は思わず、いや、半ば意図的に、彼女の体を支えた。
「……ありがとうございます」
冴子はそう言いながら、わずかに身を引いた。
その仕草ははっきりと拒むほど強くはないが、歓迎していないことだけは確かだった。
それでも、冬馬の手はすぐには離れなかった。支えるという名目のまま、彼女の体温を確かめるように、ほんの一瞬、指先に力が残る。
冴子は一度だけ冬馬を見上げ、すっと視線を外す。
その無言の間に、冬馬はようやく我に返り、遅れて手を離した。
「早く終わらせちゃいましょう。すみません」
「いえ、本当は僕がやらないといけない作業で。ただ、他のことあって……」
「タカギが自分でやればいいのに。何であたしにやらせるんだか」
冴子は先のことなど全く気にも留めていないようで、服に手を伸ばした。
「高木さんも、飯塚さんも……前は店舗にいらしたんでしたっけ…」
この気まずい空気をどうにかしたくて、冬馬はそんな風に尋ねる。
だが、冴子からすれば、その話題には当然触れられたくない。
それに、今年度入社したばかりの男が、おそらく自分の異動の理由を、噂で聞き及んでいること。その事実自体が不快だった。
「もう十年も前の話ですけどね」
本当は逆だった。男がストーカーと化してしまい、迷惑を被ったのは冴子だった。
ただその男が、女性のエリアマネージャーのお気に入りだった――それで反感を買った。

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